[ワシントン 6日 ロイター] - トランプ米大統領が次期中央情報局(CIA)長官に指名したジーナ・ハスペルCIA副長官がホワイトハウスに対し、指名辞退を申し出ていたことが、事情に詳しい2人の関係筋の話で6日、明らかになった。

ハスペル氏を巡っては、ブッシュ元政権下のCIAが2001年9月11日の米同時多発攻撃後に拘束された容疑者らに対して実施した「拷問」とされる水責めなど過酷な尋問に関わったとの指摘がある。ハスペル氏の支持者らは、ホワイトハウスのスタッフがCIA長官指名を巡り神経質になっていると懸念していたため、同氏は辞退を申し出たという。

同氏による指名辞退の申し入れについては、米紙ワシントン・ポストが最初に報じた。

同紙が4人の米高官の話として伝えたところによると、ハスペル氏は4日にホワイトハウスに呼び出され、過酷な尋問への関与について質問を受けた。同氏は9日に予定されている上院情報委員会での指名承認公聴会がCIAに悪影響を及ぼす事態を回避するため、辞退を申し出た後、バージニア州ラングレーのCIA本部に戻った。

ホワイトハウスのマーク・ショート議会担当補佐官などは同日中に急きょ、ラングレーの本部にハスペル氏を訪れ、数時間にわたり協議したが、指名辞退を撤回する確約は取り付けられなかったという。

ワシントン・ポストによると、ホワイトハウスは5日午後になってようやく、同氏が辞退することはないと確認した。

ホワイトハウスのシャー報道官は取材に対し、「ハスペル氏は30年以上も国に仕えてきた大変有能な候補だ」とコメント。「米国自由人権協会(ACLU)と見解を共にするような、CIAに対する党派的批判によって指名が阻止されることはない」とした。

ハスペル氏を巡っては、拷問を記録したビデオテープの破棄を命じた可能性についても指摘されている。