【核心】ベーシックインカムは、幸せを生まない

2018/4/29
人工知能(AI)などの進歩に伴い、機械に代替される仕事が増えていくと言われている。  
そうした中、国民に必要最低限の「生活費」を支給する「ベーシックインカム(BI)」は、ひとつの社会的な解決策として世界各国で模索されている。
2017年1月には、フィンランド政府が2年間にわたるBIの試験運用を開始した。ところが、国際的な注目を集めていたこの実験は、終了期限である今年末からは、延長しない旨が報じられたばかりだ。
賛否両論あるこのBI制度に異を唱える1人が、ノーベル平和賞を受賞したバングラデシュの経済学者、ムハマド・ユヌス氏だ。
ユヌス氏は、バングラデシュで貧困層に無担保で少額融資を行う「グラミン銀行」を1983年に設立。草の根からの貧困削減が評価され、2006年にノーベル平和賞を受賞している。
貧困の削減とは一見相性が良さそうに思えるBIだが、なぜ彼は、「BIで人は幸せにならない」と断言するのか。
NewsPicksはこのたび来日したユヌス氏の単独インタビューに成功。彼の考える「代替案」について、じっくり聞いた。
ムハマド・ユヌス/経済学者、社会活動家 1940年バングラデシュ生まれ。1983年にグラミン銀行を創設。2006年にグラミン銀行と共にノーベル平和賞を受賞。