創造性や自己改善を促進し、広い心を養う

読書はさまざまな形で役に立つ。創造性や自己改善を促進し、広い心を養ってくれる。読書には寿命を延ばす効果があると主張する研究者もいるほどだ。この記事では、成功を手にしたビジネスリーダーたちが推薦する人気の本を紹介しよう。
1.『SHOE DOG(シュードッグ)』フィル・ナイト著(邦訳:東洋経済新報社)
「ビジネス関連の自伝を書く人たちは、揺るぎない足どりで確信を持って成功への道を歩んだ自分自身を長々と描写することが多すぎる。ナイキ創業者であるフィル・ナイトの自伝のどこが良いかといえば、起業はときにおそろしいものだということがとても正直に書き綴られているところだ。
世間一般の私たちと同じように、ナイトも会社を興して育てるあいだに自分を疑う瞬間に出くわし、絶えず災難にもてあそばれていた。だが彼には、いざというときに必要なものがあった……自分の信じるものにすべてを賭ける勇気と、ことあるごとに競争相手の先を行く機動力だ」
──クリス・マッキー:外部資本/ファンディングを得ていない投資プロフェッショナル向けの調査管理プラットフォーム「マッキーRMS」の最高経営責任者(CEO)。同プラットフォームの顧客は、合わせて1兆ドルを超える資産を管理している。
2.『モチベーション3.0──持続する「やる気!」をいかに引き出すか』ダニエル・ピンク著(邦訳:講談社)
「著者によれば、生活の心配がないという意味で十分な報酬を支払っている場合、本物のやる気を引き出す要素は『熟達』『自律性』『目的』だという。私なら、このリストに『つながり』をつけ加える。
働く人がベストを出せるような会社環境や文化を設定し(熟達)、彼らが最高の結果を出せると自分で思える方法で(自律性)、意義を感じられる何かに焦点をあてて(目的)、同じ価値観を持つグループの一部として(つながり)会社や文化をつくりあげる。それこそが力強い優れた文化を育てるのだ」
──アート・サックスビー:戦略マーケティング・コンサルティング企業、チーフ・アウトサイダーズのCEO。60業種超、600企業以上の経営チームを顧客に持つ。
3.『Founders at Work──33のスタートアップストーリー』ジェシカ・リビングストン著(邦訳:アスキー・メディアワークス)
「(この本のおかげで)どんな人でも起業への道を歩めるのだという気分になった。当時、博士課程の学生だった私も例外ではない」
──ズーヘア・ベルクーラ:6500万人が利用する写真プライバシー保護サービス提供企業キープセイフ(Keepsafe)のCEO。
4.『その「決断」がすべてを解決する──貴重な人生を浪費しない「5つのロードマップ」』マーク・マンソン著(邦訳:三笠書房)
「起業家として私は、人々からいつも質問される。あなたは何をしているのか? なぜ仕事を辞めたのか? あれやこれは本当にうまくいくと思うか? そうした質問に影響されないようにするのは難しい。
この本は、自分とは何者か、自分にとって大切なことは何かについて、自分の立場をしっかり貫くのに役立つ。あるがままの自分として、誰はばかることなく、自分のするべきことを確実に実行するのを後押ししてくれる。
憎しみや批判をぶつけてくる人に気持ちがくじけやすい起業家は、状況が厳しくなったときにあきらめてしまいやすい。我が道を行き、世界を巻き込もう! 正直に言えば、もっと早くこの本を読んでいればよかったと思う」
──デイビッド・ヤルス:ユダヤ系の人々のためのデートサイト「Jデート」(Jdate)のグローバル・アンバサダー。Jdateでは、全世界で毎月500万件のメッセージが飛び交い、100万件以上の出会いが成立している。
5.『Radical Candor: Be a Kick-Ass Boss Without Losing Your Humanity』キム・スコット著(邦訳なし)
「初めて会社を興し、カウチ仲間の3人から短期間で10人のチームに成長させた若い女性起業家にとって、この本のいいところは、コミュニケーションや優れたリーダーの条件、チームの信頼構築に関して、さまざまな戦術を明確に提示している点だ」
──レイチェル・レノック:1500人を超えるフリーランサーと300以上の非営利組織とを結びつけるプラットフォーム「ウィーソス」(Wethos)の共同創業者。
6.『Going for It! How to Succeed as an Entrepreneur』ビクター・キアム著(邦訳なし)
「ビクター・キアムは、みずから出演する自社のTV広告のおかげで、ある年代の人たちにとってはちょっとしたセレブリティだった。私が彼の本を初めて読んだのは、まだ若かったころだ。それは私が初めて読んだビジネス書で、起業家になるとはどういうことかを教えてくれた。
キアムは、ビジネスパーソンとして成功したいという私の(そしてまちがいなく、数えきれないくらい多くの人たちの)意欲をかきたてた最初の人であり、この本はいまも私が出会ったなかで最高の起業関連本の1冊だ」
──リチャード・モロス:「100枚100デザイン」という独創的な名刺を提供する印刷会社MOOのCEO。2006年の創業以来、MOOの売上は1億ドルを超え、6カ所に拠点を拡大している。
7.『The Revenge of Analog: Real Things and Why They Matter』デイビッド・サックス著(邦訳なし)
「現代はハイパーデジタルで便利な時代だ。けれども、実体のあるものをデジタルに置き換えることが、つねに理にかなっているとは限らない。そうしたパラドックスについて、この本は多くを語っている。
現在の我々はスクリーンによって動かされる存在だが、だからこそ、レコードや紙、フィルム映画といった人間の社会の中のリアルなものに対する愛は、いっそう重要なものになり、洗練されて明確になっている。
この本を読んだあと、自分の会社であるVNYLに関する私の戦略は、このうえなく明快になった。そして、レコードという音楽を使うことが、音楽を発見するという問題を非常にうまく解決する理由が明確になった」
──ニック・オルト:VNYLのCEO。VNYLは、成功を収めた「キックスターター」プロジェクトを立ち上げたサブスクリプション企業で、3年のあいだに年間50万枚のレコードを会員に提供するまでに成長した。
8.『Finding My Virginity: The New Autobiography』リチャード・ブランソン著(邦訳なし)
「人生を楽しみ、世界を良くすることを重視するリチャード・ブランソンのやり方は、私たちが大切にすることに共鳴するものだ。この本は、ブランソンの人生の成功とともに、彼の失敗も回顧している。
成功したい起業家がこの本から得られる大きな教訓は、ビジネスにおいては(そして、ときには私生活においても)、大切なことを追求したいのなら、何かを犠牲にしなければならないということだ。その『何か』を特定する方法を知り、手放すことこそが重要なのだ。
ブランソンが、物議を醸すことを恐れず、みずからの信念のために闘う姿にも感銘を受けた。もうひとつの大きな教訓は、自分の強みを活かし、優れたチームを(メンバーが自分より優れた人であっても)つくる方法を学べということだ。簡単なことではないが、ビジネスで成功するためには欠かせないことだ」
──モヒニ・ボパライ・ガレリア(Mohini Boparai Guleria):家庭向けの便利な浄水ソリューションにより、使い捨てプラスチック由来のゴミの削減に取り組むスマートアプライアンス企業、アールオーシャン(rOcean)の共同創業者。
アールオーシャンは最近、クラウドファウンディング「IndieGoGO(インディーゴーゴー)」で目標額3万ドルを超える16万6000ドルの資金を調達した。
9.『HARD THINGS』ベン・ホロウィッツ著(邦訳:日経BP社)
「私がこれまでに出会った起業関連本のうち、唯一この本だけが、会社を経営する起業家が直面する途方もない困難を正直に語っている。難しい決断に直面することだけでなく、会社経営がメンタルにどういう影響を与えるかも語られている。
たとえば、信じられないほどの興奮から、真夜中に不安で目覚めてしまう状態まで揺れ動く、ジェットコースターのような感情の起伏。そうした感情に対処する方法を、起業家はどうやって身につければいいのだろうか。
さらに、チーム構築に関する話(採用や組織づくり、やる気の引き出し方から、やむを得ない解雇まで)も、とても学ぶところが大きかった。
この本から学び、自分の企業センセル(Sensel)でも実践した大きな教訓のひとつが、企業文化的に合った人を雇用することだ。さらに、必ずしもすべての点で最善ではないが、少なくともひとつの分野で秀でている人を探すことの重要性だ。つまり、弱点のなさではなく、強みを理由に採用するということだ」
──イリヤ・ローゼンバーグ:タッチ技術企業センセルの共同創業者兼CEO。センセルは2017年、資金調達で1000万ドル以上を獲得し、クラウドファウンディングで50万ドル以上を調達した。
10.『The Rickover Effect: How One Man Made a Difference』セオドア・ロックウェル著(邦訳なし)
「リッコーバー海軍大将は、たった5年たらずで不可能にも思える仕事をやり遂げた。つまり、潜水艦というこれ以上はない厳しい環境で、最初の原子炉を開発したのだ。それを実現したのが、時代のはるか先を行く型破りなリーダーシップスタイルだった。
この本は、組織運営をめぐる途方もない洞察に満ちている。あらゆる起業家の役に立つはずだ」
──デイビッド・ルセンコ:世界中で5000万人の起業家が利用するウェブサイト作成プラットフォーム「ウィーブリー(Weebly)」の共同創業者兼CEO。
11.『インナーゲーム』W・ティモシー・ガルウェイ著(邦訳:日刊スポーツ出版社)
「この本を読めば、最高の仕事をして最高の集中力を保つためには、練習とトレーニングが必要だということがわかる。それは必ずしも、あなたが想像するような練習ではない。頭のなかから脱して身体のなかに入れば、最高のパフォーマンスを発揮できる。
この本に書かれているいくつかのヒントや手段のおかげで、集中力に対する私の見方が変わり、重要なミーティングやイベントで頭を整理することができた。自分の能力をあますところなく活かし、最高のパフォーマンスを実現したい人にはぴったりの本だ」
──エリオット・トメーノ:受賞歴のあるPR代理店「アストルスクPR(Astrsk PR)」の創業者兼CEO。2012年の創業以来、300を超える企業や製品の立ち上げに関わっている。
12.『Superconnector: Stop Networking and Start Building Business Relationships That Matter』ライアン・ポー、スコット・ガーバー著(邦訳なし)
「世界を代表する若い起業家で構成される招待制組織YEC(Young Entrepreneur Council)の創設者が書いた『Superconnector』は、ネットワークづくりに関する考え方を一新してくれる。
ライアン・ポーとスコット・ガーバーは、従来のネットワークづくりがもはや機能しない理由を説明し、社会資本の理解と活用により、世界を変える価値の高いコミュニティを構築するための必勝戦略を披露している。
必要なのは、あらゆる人とあらゆる話題について語り合う方法を学び、デジタル化の進む世界でコネクションをつくって強化するための強力なアプローチを身につけることだ。自分の成功を後押ししてくれるビジネスコミュニティを構築するうえで、この本は重要な役割を果たしてくれた」
──リチャード・ローレンゼン:PR会社フィフス・アベニュー・ブランズのCEO。リンクトインにより「2016年のミレニアル世代の重要人物」のひとりに選出され、2017年には『Inc.』誌の選ぶ「2017年に注目すべき起業家25人」に名を連ねた。
13.『How to Flip Houses With Little or No Money』コディ・スペルバー著(邦訳なし)
「不動産が昔から定評のあるお金を稼ぐ手段であることは、誰もが知っている。現実を認めよう。不動産でお金を稼ぐ方法を知っていると豪語する人は、掃いて捨てるほどいる。だが実際のところ、ほとんどの人は、違いを生み出せるほどの知識も実体験も持っていない。
しかし、コディ・スペルバーは違う。スペルバーは米海軍の退役軍人で、自力で億万長者にのしあがった現役の不動産投資家だ。自身でも1000件を超える不動産取引を経験しているだけでなく、彼のシステムやトレーニングは大勢の人がそれぞれの成功を見つけ出すのを助けている。
(この本は)不動産ビジネスを始めたい人に、エキスパートの助言を与えてくれる。わずかな予算しかない人でも大丈夫だ。この本の戦略を使えば、信用や資本のないまったくの初心者でも、不動産を買って転売する方法を身につけられる。
そんなわけで、副収入を得たい人や転職しようと考えている人は、まずこの本を読むといい」
──ジョセフ・マクレンドン三世:ベストセラー作家、スピーカー、トレーナー、コーチとして、世界中で300万人以上に助言を提供している。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Christina DesMarais/Contributor, Inc.com、翻訳:梅田智世/ガリレオ、写真:clu/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.