[ニューヨーク/ロンドン 19日 ロイター] - 武田薬品工業<4502.T>は19日、アイルランドの製薬会社シャイアー<SHP.L>に提示した630億ドル規模の買収案が拒否されたものの、買収を巡る協議は継続していることを明らかにした。

ロイターは同日、関係筋の話として、同業アラガン<AGN.N>もシャイアー買収に向け交渉中と報道したが、その後買収の可能性を模索しない考えを示した。

アラガンは、シャイアー買収提案について検討中と認め、株価が7%下落していた。

数時間後、アラガンのブレント・サンダース最高経営責任者(CEO)が、買収検討を断念すると決めた。関係筋によると、懸念を示す一部株主の声を受け、決断したという。

アラガンはその後新たな声明を出し、シャイアーに買収提案を行う考えは無いと説明した。

アラガンは昨年末時点で、300億ドルの債務を抱え、大型買収を行う能力の重しとなっていた。

ロイターはまた、武田薬がシャイアーに1株当たり46.50ポンド(66.20ドル)での買収を打診したとも伝えていた。

買収が実現すれば、日本企業による海外での買収案件としては過去最大規模となり、武田薬は世界製薬業界の上位に食い込む。希少疾患や消化器疾患、神経科学分野でのポジション押し上げにつながるともみられている。

ただ、シャイアーの市場価値が340億ポンド(483億ドル)強と、武田薬の時価総額4兆1000億円(310億ドル)を大きく上回り、財務面の負担は大きいとみられている。

武田薬は、配当方針や投資級信用格付けを維持する意向を示し、「買収提案を巡る関係者間の協議が続いている」と説明した。

シャイアーは、武田薬からこれまでに条件付きの買収提案3件を受け取ったと確認したが、自社の成長見通しや開発中の医薬品を著しく過小評価する内容との認識を示した。

武田薬の提示額(1株当たり46.50ポンド)は、現金17.75ポンド(支払いはドル建て)と、28.75ポンド分の武田薬の新株で構成される。

英国の企業買収規則の下、武田薬の買収提示期限は25日となっている。

シャイアーは、自社株主が保有する買収後グループ株式の割合は、武田薬の時価総額に基づくと約51%にとどまると指摘した。

バーンスタインのアナリストは、現在の協議でシャイアー側が現金部分の拡大を求める公算が大きいとしつつ、武田薬の負担はすでに大きく、合意妥結にはなお「かなりのリスクがある」と分析した。

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