米国債イールドカーブが危険水域に突入-長短金利逆転が再び視野に
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注目のコメント
折に触れてこちらでもコメントさせて頂いており、各種寄稿でも執拗に言及して参りましたが、過去1年間の米金利市場において一番重要な動きは(一部の円安予想をはやし立てるような向きが騒ぐ)日米金利差拡大ではなく、米イールドカーブのフラット化です。フラット化それ自体が不況を示唆するのは教科書の教えるところであり、逆イールドとなればほぼ確実にリセッションを予測してきたという経緯があります(これは昨年来、地区連銀総裁も複数名が懸念を表明している点です)。
いくら利上げをしても、世界で一番多様かつ多額の資金が集まる米国債市場はその持続性に自信を持っておらず、それゆえにドル相場も軟調な推移が続いてきた(そしてこれも続いていく可能性が高い)のだと思います。
なお、話は逸れますが、為替を見る上での日米金利差ほど微妙な計数はないと思います。日本の金利は相当に低く、また動かないわけですから、金利差といってもそれは米金利そのものです。であれば、米金利のカーブ形状にも目を配ったら良いのではないか、と私は思います。米国の景気回復の長さへの意味合いを踏まえると、既に米国のGDPギャップも危険水域に突入しています。
というのも、ここ30年年余りの間に米国が経験したリセッションの全てにおいて、2~4年先行してGDPギャップがプラスに転じていました。
過去の経験則どおりに行けば、米国経済は早ければ来年秋以降にもリセッションの可能性があるでしょう。逆イールドを、景気サイクルや利上げサイクルの一現象とみなすことも重要ですが、より本質的には、ここ数年米国の成長期待が低下していることだと思います。さらにいうと、Fedによる長期金利見通しは外し続け、低下し続けています。
すでにFedは検討に入ってると思いますが、低成長、低インフレ、低金利下における金融政策運営は、従来の枠組みでは対応できない可能性があります(容易に逆イールドを形成してしまうリスクがあります)。