就職せずに起業。13坪の店に注いだノウハウで大盛況

2018/7/16

就職か起業か

貸レコード店「友&愛」港南台店の経営を任された僕たちは、いろいろなキャンペーンを打って、売り上げをどんどんあげていました。僕はすっかり会員制ビジネスの面白さにハマっていました。
でも、それは僕が大学3年生の時のことなんです。大学4年生になると、就活を始めなければなりません。
父親は僕を銀行みたいな堅い職業に就かせたかったようですが、それは嫌でしたね。自分としては、テレビ局とか、なんとなくそういう派手そうな会社に入りたかったのですが、自分の成績では多分無理だろうなと思っていました。
そんな時、オーナーが「もう一軒、貸レコード店をやらないか?」と誘ってきたのです。つまり、就職をしないで、本格的に商売をやらないかと言うのです。
これは悩みました。今で言えば「エンジェル投資をするから起業しないか」という話なのですが、当時はそう簡単ではありません。
なぜなら、「大手企業に就職したら一生安泰」と信じられていた時代です。当時の企業は、中途採用なんて、よほど経験がある人でなければしませんから、就職せずに商売をやるということは、もう企業に就職することはできなくなるということです。
失敗したらどうしようと当然考えますよね。
それが思い切れたのは、父親が中古自動車の販売業で成功していたということです。
「だめだったら、親父の会社を継げばいいや」

常にリスクヘッジ

僕は、いつも大胆なことをするように見えるかもしれませんが、実はかなりの小心者です。大胆なことをする裏では、リスクをヘッジする方法を常に考えています。
それは今でもそうです。「もしだめだったら、こうすればいい」ということがあるので、思い切ったことができるのです。
僕を堅い企業に就職させたかった父親は大反対でした。「お前は、そのオーナーからよほど信頼されているか、あるいは騙されているかの二つに一つだ」と言って反対しました。
すると、オーナーは僕の父親に直接会って、説得してくれたのです。
「彼には商売の才能がある。ただ無愛想なところがあるので人から誤解されやすい。企業に入っても上司に恵まれないと、才能を生かすことができない。商売の道を歩ませるべきだ」と言ってくれたそうです。
その言葉に父親も納得したようで、結局、オーナーが1000万円、父親が1000万円を出資して、僕が社長の会社を設立し、貸レコード店を経営することになりました。

抜群にいい立地

やるのであれば、もう、場所は決めていました。
横浜市の上大岡です。高校の時からこの街で遊んでいたので、人の流れがよくわかっていたんです。
上大岡は西口の乗降客が多いんだけど、商店街の道が何本かあって、それが合流するところにドラッグストアがあった。人の流れが抜群にいい立地なんです。
2階建ての建物なんだけど、ドラッグストアは1階しか使っていないので、2階が空いているはずだと。ここなら絶対にいけると、以前から目をつけていました。
ドラッグストアに行って聞いてみると、断られてしまいます。倉庫で使っていると言うんです。もったいないと思うけど、仕方ない。
それで、そのドラッグストアの前でどうしようかと考え込んでいました。