【優勝者が語る】メイクマネーの反響と1000万円の使い道

2018/4/7
4月1日の配信で多くの反響を呼んだ、新時代の起業リアリティショー「メイクマネー 起業家グランプリ2018」。戦いを終えた挑戦者たちのインタビューをシリーズでお届けします。
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審査員が絶賛したアクセサリー

「声のカタチでデザインする指輪です。」
それまでのピンと張りつめたスタジオの空気は、角村嘉信の登場によって一変した。
角村嘉信(かくむら・よしのぶ)。EncodeRing株式会社代表取締役。1990年10月生まれ。日本大学商学部卒業後、3Dプリントを活用したビジネスを個人で展開。2016年9月に会社設立。
音声から3Dデータを瞬時に生成・表示する技術を利用した指輪、その名も「Encode Ring(エンコードリング)」。
角村のアイデアに、NewsPicksオールスターズは瞬時に引き込まれた。
「すごいよね。」「これは売れるわ。」
それまで、険しい表情で厳しいコメントを連発していた堀江貴文氏を始め、審査員全員を唸らせた「エンコードリング」。
プロダクトの完成度もさることながら、音声の波形をデザインするという技術が、様々な分野に応用できるというビジネスとしての広がりも高い評価を得た一因だ。
「エンコードリング」の注文画面。PCのマイクから録音すれば、音声の波形をかたどった指輪がサイト上に瞬時に生成される。

「メイクマネー」優勝の反響

-ーまずは、優勝おめでとうございます。
ありがとうございます。
まさか自分が優勝するとは思っていなかったので、優勝者発表の瞬間も、翌日に対応しなくちゃいけない取引先のことを考えていました。
アクセサリーってそれほど目新しくないので、きっと「ドローンハンティング」か「脳に言葉を届ける音響テクノロジー」が優勝だろうなと思っていました。
優勝を告げられた後の第一声は「あ、選ばれましたぁ」だった。
-ー「メイクマネー」配信後の反響はいかがですか。
とてつもない反響です。配信直後から「メイクマネーを見ました」というメールが何通も届いて、すでに商談に発展しそうなものもあります。
あの日のスタジオで僕の前にいたのは6人のNewsPicksオールスターズでしたが、その後ろにいるたくさんのNewsPicksユーザーの皆さんに向けてプレゼンできた感覚です。

きっかけは彼女へのプレゼント

ーー「エンコードリング」を考案したきっかけは何だったのですか。
大学生になって、クリス・アンダーソンの「MAKERS」を読んだ時に、近い将来、3Dプリンタが商売になると感じて、すぐに3Dプリンタでペットのフィギュアを写真から作成するビジネスを始めました。
1体あたり2万5000円という価格設定でしたが、メディアに取り上げられたこともあって、かなり売れました。
ーー最初から指輪ではなかったのですね。
ビジネスは順調だったのですが、同じようなサービスがたくさん出てきて、面白くなくなってやめちゃいました。
指輪に行き着いたのは、2年前のホワイトデーです。
当時お付き合いしていた彼女へのプレゼントとして、自分の声を録音して、その波形をデザインした指輪を作ったんです。これが「エンコードリング」のプロトタイプです。
ーーその時はどんなメッセージを?
それは秘密です(笑)。

旧態依然の宝石業界をアップデート

ーー今回の賞金1000万円をどのように使いますか。
「エンコードリング」のサイトの裏側を整えるための開発に使います。今はまだ、ショッピングカートもないんです。
それに、ご注文いただいた商品が今まさにどんな状態なのかもわからない。原型の制作中なのか、鋳造中なのか、発送準備中なのか。まずはお客様の利便性向上に賞金を使います。
あとは、いまだ古い体質の宝石業界をアップデートするために、新たなサービスを構想しています。
ーーどんなサービスなのですか。
僕たちの強みの一つが、スマホアプリやウェブ上で3Dデータをスムーズに表示する技術です。
この技術を使えば、指輪のカスタムオーダーを、もっとわかりやすいものに変えられると確信しています。
指輪のカスタムオーダーサイトのほとんどが、宝石や指輪に精通した人でなければ注文に苦戦すると思うんです。
「カラーやクラリティー(透明度)のグレードを選んでください」と言われても素人にはわからないし、何より注文するまでのステップが複雑です。
カスタムの過程を3Dデータで表示すれば、選んだデザインの裏側までどんな角度からも見ることができるし、AR(仮想現実)技術を組み合わせれば、実際に指にはめたイメージまで試すことができます。
1000万円を使えば、こんなすごいことができるんだというのを「メイクマネー」をご覧になった皆さんにお見せしたいと思います。

「メイクマネー」の可能性

ーー今回出演されて、番組にどんな印象をお持ちですか。
これからの起業家にとって、めちゃくちゃプラスだと思います。
2分間のプレゼンで自分の良さを出し切るっていうのはとても難しいけれど、トライするだけの価値があると思います。
審査員からその場でフィードバックをもらえることはもちろんですし、NewsPicksユーザーからもフィードバックをもらえることが、起業家としてすごく貴重なことです。
将来、投げ銭機能を追加してくれれば、配信がもっと盛り上がると思いますよ。

「やってみなはれ」の精神

ーー最後に、今後「メイクマネー」に挑戦しようと考えているユーザーにアドバイスをいただけますか。
あれだけ豪華なメンバーに直接プレゼンできる機会は滅多にありません。だからこそ、プレゼンをポジティブに楽しめばいいと思います。
仮にアイデアが否定されたとしても、人格まで否定されるわけではないから。
とにかく「やってみなはれ」という感じですね。
「メイクマネー」挑戦者へのインタビュー記事は、4月の毎週土曜・日曜に公開します。
<取材:安岡大輔、デザイン:片山亜弥、写真撮影:鈴木大喜>