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アーンアウトは、対象会社の事業計画の達成可能性に疑義があり、売り手と買い手のバリュエーションに差がある場合に有用な買収手法です。本件のように、創業からそれほど時間が経っておらずトラックレコードが少ない企業の買収に使われることが多いです。本件では、記事にあるように、さらに許認可リスク、訴訟リスクがありますので、その手当として上手くハマったという印象です。

また、アーンアウトは、売り手が買収後も経営に携わる場合でないとうまくワークしません。今回は現経営陣が執行役員として残るとということで、その点でもうまく活用できる場面でした。リテンションインセンティブとしてもワークします。

アーンアウトはこのようにうまくハマるととてもよい手法なのですが①アーンアウト期間中の経営権限をどう分配するか、②将来のM&Aをどう扱うかなど、ギリギリ考えると難しいポイントもあったりします。

本件では、今後3年間の純利益を参照するということなので、訴訟引当金をどう積むか等将来テンションが生じることもありそうです。どういった手当がなされたのか興味のあるところです。
買収額が僅か38億円となった背景として、訴訟リスクと事業の継続性リスクから説明されています。
また、既存株主利益に資するため、Earn-outという、事業が一定割合成果を収めた場合に買収額を追加補てんする手法を採用した点も分かりやすく解説しています。

特に事業継続の可否により利益水準が大幅に変化する、オプション的な性格が強い場合にこうした手法が採用された点は、今後のM&Aにも活かされそうですね。
買収のポイントがまとまっている。
3ポイント目の再編について、もう一個の論点は「金融庁的に、誰が買うのを良しとしたのか」という点があろう。独立系仮想通貨業者にとってはシェアを一気にとるチャンスではあったが、下記記事を見ると、それは金融庁としてNGだったのだろう。
一定成熟した金融業態であれば、金融庁や業界団体による規制がどうできていくものかを理解している。また、消費者保護が十分でなければ既存の金融サービス含めて目を付けられることにディスインセンティブが発生する。こういうプレイヤーを仮想通貨業界に入れていきたいという金融庁の意図は明確にあったのだろう。
https://newspicks.com/news/2940997

今後という点で気になるのは、マネックスの財務諸表。
買収金額は安く、NEM保証後でも営業利益1000億円超という噂をベースにすればかなりの利益が出ているだろう。なので、負ののれんが発生するはず。
併せて、コインチェックの自社保有仮想通貨も連結される。ASBJ(企業会計基準委員会)の先日の仮想通貨について期末時価評価し変動分をPLヒットさせるという決定は、マネックスはIFRS採用でIFRSでどう定義されているか(定義されていない?)含めて、見ていきたい点。
その在庫変動益についても、アーンアウトでどういうスキームになっていくのか、また営業再開となればマネックスが運営する中で保有分放出と顧客間の売買を併せていく比率も含めて、見ていきたい点。
下記でM&A戦略の観点で書きましたが、この記事はわかりやすいですね。勉強になります(_ _)
【特別編】マネックスによるコインチェック買収の裏側
https://newspicks.com/news/2941955?ref=user_489842

会計的を論点を少し。
①まず負ののれんについて
報道によれば1,000億円以上の営業利益を稼いでいるという話でしたが、これはNEM流出の前の話でしょうしその後はかなり目減りしているはず。とはいえ買収金額38億円は大きく上回る純資産はありそうなので、負ののれんが少なくとも数十億単位で生じ、マネックスが採用するIFRS(日本基準もですが)では一括償却(収益化)されます。
とすれば当期の着地予想利益約60億円のマネックスにとっては負ののれん分だけで自社利益を超える可能性すらありますのでインパクトは大きいです。
ただし、IFRSでは追加支払いの可能性がある部分(アーンアウト部分)も含めて時価(公正価値)評価して取得原価に反映させる必要があるため、この部分だけ負ののれんが圧縮されます。

ちなみにM&A戦略的には純資産割れの会社を次々に買収し、負ののれんを利用して利益が出ていることをアピールして株価を上げていくというやり方をとる会社もあります。


②コインチェックの自社保有仮想通貨分の資産区分について
日本基準では仮想通貨に関する会計基準が出ており、原則として期末時価評価を行い差額を損益計上させます。
一方IFRSでは仮想通貨に関する統一的な基準はないです。参考として、下記はIFRSの諮問機関の仮想通貨に関する考え方に対する日本基準の考え方みたいな資料です。
https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/20161202_05.pdf

ここでは下記の言及がされており、IFRSでは仮想通貨自己保有分は棚卸資産あるいは無形資産として計上され、日本基準と異なり期末時点で時価評価して差額を損益計上することはないことになります。
・ 現金及び現金同等物あるいは金融商品には該当しない。
・ 棚卸資産あるいは無形資産に該当する。
記者会見に同席しましたが、松本社長は終始嬉しそうでしたし、和田社長も表情は硬いながらも、1月の会見からは見違えるように覇気を取り戻していました。

印象的だったのが、会見の最後に記者から両者の握手をしてほしいという要望が出たのですが、松本社長が笑顔で断ったことでした。38億円という安値での買収に油断せず、信頼回復に向けて慎重な姿勢が伺えました。
"「アーンアウト(Earnout)」と呼ばれる手法。これは、買収対価を追加で払う枠組みで、旧株主に対する一種の「出来高払い」といえる。"
先行き不透明ですからこの仕組みしかなかったのでしょうかね。それにしてもマネックスは早かった。
コインチェックの2018年3月期の営業利益が大きい本質的な理由も、別途押さえておく必要があります。
こちらは昨年2017年度末のビットコイン高騰での盛り上がりを中心とした取引高の大幅拡大の中、(販売所の実質手数料とも言える、暗号通貨の売買レート差である)「スプレッド」をオルトコイン含めてかなり高めに設定していることでの、「手数料収益の高さ」によるものです。
ビットコインの価格がバブっていたことで取引高も引っ張られて引き上がるし、併せて手数料総額も爆上がりする、という構造です。

故に、下記あたりが今後どうなるかで(暗号通貨の販売所・取引所としての)サービスの収益力・収益額はまったく変わります。
・暗号通貨の取引マーケット全体の盛り上がり
・その中でユーザのシェア確保(競合との戦い)
・スプレッドを中心とした手数料等のサービス収益の定義/エンハンス
・セキュリティ強化への追加投資とマイルストン
いずれもなかなか逆風の様相です。

そういう意味でも、この36億円という買収金額を(収益力に対して)「とても安いではないか」と気安く考えるのは軽率だと考えております。

※ビットコインの国内月次取引高の推移は、こちらが参考になります。
https://jpbitcoin.com/market/volume

引き続き、本件見守りたいと思います。
マネックスグループによる買収が決まったコインチェック。その注目ポイントについて、谷口記者がお送りします。これまでの経緯から、安い買収金額やそのスキームなどまで、すっきり整理された3分解説です。
1000億の営業利益見込みとは半端ない。消費者金融のように完全にメガバンクに巻き取らせるのか、マネックスさんくらいのプレーヤーにも扱わせるくらいにとどめるか、当局サイドの「さじ加減」によって大きく変わりうりますが、今回の件は一つの大きなメッセージのように感じます
とにもかくにもココまで漕ぎ着けられたのが凄いです。27歳の和田社長がアーンアウト期間を終えてもまだ30歳。こんな修羅場を経験した30歳なんて聞いたコトないし、羨ましい位です。
この連載について
今、知りたい注目のニュースの真相から全体像まで、やさしく徹底解説。プロピッカーや有識者による対談、オピニオン寄稿、直撃インタビューなどでお届けする、NewsPicks編集部のオリジナルニュース連載。
マネックスグループ株式会社は、東京都千代田区麹町に本店を置く金融持株会社。 ウィキペディア
時価総額
660 億円

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