[東京 29日 ロイター] - 富士フイルムホールディングス <4901.T>は29日、細胞培養に必要な培地を手掛ける米アーバイン・サイエンティフィック・セールス・カンパニー(ISUS・米カリフォルニア州)とアイエスジャパン(ISJ・埼玉県戸田市)の全株式を取得すると発表した。

2社の買収総額は約8億ドル(約850億円)。5―6月に全株式の取得を行う予定。

助野健児社長・COO(最高執行責任者)は会見で「年率10%で伸びる培地市場において、それ以上の成長を目指す」と述べた。

培地はバイオ医薬品のインフラとも言える。2017年には武田薬品工業 <4502.T>から、培地事業を行っている和光純薬工業を買収しており、シナジーを出しながら、事業の拡大を図る。

ISUSとISJは、バイオ医薬品や再生医療製品などの研究開発・製造での細胞培養に必要不可欠な培地のリーディングカンパニー。JXTGホールディングス<5020.T>のグループ会社で、ASUS社は欧米、ISJ社が日本・アジアを中心に販売を展開している。両社を合わせた売り上げ規模は約100億円。

富士フイルムはヘルスケア分野として「予防」「診断」「治療」の3つの領域で事業を展開している。2017―19年度の中期経営計画では、ヘルスケアの成長を重点戦略として位置付けていた。

同社は、顧客の新薬の研究開発・製造を支援する製品・サービスのマーケティング拠点を2018年度上期に米ボストンに新設することも発表した。

今後のヘルスケア事業での買収可能性について、古森重隆会長・CEO(最高経営責任者)は「今後も成長が見込める。これで十分ということはない」と述べ、必要な買収は実施していく考えを示した。中計では、M&A枠として5000億円を設定していた。その上で、ヘルスケア事業の売上高に対する比率を30―40%に高めたいとした。

*内容を追加します。

(清水律子)