地方学生のキャリアを支援したい【プロピッカー寄稿】佐久間 大さん

2018/3/28
プロピッカーの専門領域に特化し、独自の視点でテーマについてご寄稿いただく「PRO PICKER'S VIEW」。専門テーマを深く理解するためのオススメ書籍もご紹介いただきます。
今回は、地方学生の就活をサポートしているプロピッカー 地方のミカタ 取締役の佐久間 大さんに、新社会人になる学生にむけて自身の経験を交えお話いただきました。

佐久間 大(さくま・ひろ)
青山学院大学大学院(青山ビジネススクール)に在学(修士)。 専攻は、ITとマーケティング。大学4年時に広告代理店でフルタイムインターンとして商品プロモーション企画に従事する。 その後、ゲームメーカーの開発部へジョインし、開発マネジメントを経験。 現在は、地方就活生向けサービスを行う企業で、新卒採用の事業責任者を務める。

「成長できる環境」をいくつか持とう

──現在、就活中の地方学生を支援されていますよね。佐久間さん自身、新入社員として入社した際どんなことで悩みましたか?
私自身、大学4年の8月から長期インターンを経験し、卒業と同時に広告代理店に入社しました。代理店での始めの仕事では、3つの点で戸惑い悩んでいました。
1つ目は、メールやビジネス文書での言葉の使い方が分からないこと。広告業界でよく使われるカタカナ言葉にも悩まされましたね。いま思えば、ほとんど使わない言葉ばかりですけどね(笑)。
2つ目は、仕事の質がどこまでやると正解なのかが分からない。スピードを重視すると雑だと怒られ、質を重視したら遅いと怒られていました。怒られるのが嫌で、「出来ている人を真似る」ことと、「指示の意図を前後関係含めて理解する」ことを意識しました。仕事をするための基礎となる型を作っていましたね。
3つ目は、残業時間などの不平不満はビジネスパーソンみんなが抱えているものなのか、自分の会社の問題なのか。
そして地方から上京する新社会人にとって、東京の生活に慣れることも悩みのひとつです。毎日の満員電車のように、仕事以外でもストレスを感じる場面が多くあります。
──私も地方から上京したので慣れるまでは大変でした。
そんな生活の変化を乗り越える中で重要なのは、自分に最適な「息抜き」を見つけることです。リセット力を鍛えることが、自身の成長ストレッチに直結します。
また、会社の枠を超えた同期を作ることも重要です。社外の利害関係がないコミュニティは価値が高く、視野を広げ、視座を高めることに有効です。成長できる環境を「複数」持てることが大事ではないでしょうか。

コミュニティの場を提供

──現在「地方のミカタ」で地方学生の支援を行っていますよね。いまの職業に就こうと思った理由は何でしょう?
地方のミカタは、代表の岩本が京都大学の大学院生時代に就職活動で上京し、情報・距離・金銭的な地方就活格差を感じたことからスタートしました。
まずは「就活シェアハウス」の提供を開始。就活情報を共有できるコミュニティを作りつつ、地方を往復する時間の節約と金銭的な負担を減らすことを実現しました。
「就活シェアハウス」は岩本の想像を超えるニーズがあり、最初は学生団体でスタートしたものの利用学生の増加に伴って法人化。このタイミングでもう一人の取締役、伊藤がジョインしました。私はその後、合流することになります。
最初に地方のミカタを知ったのは、MBAを取るために大学院に通っていた時です。
お世話になっているIT上場企業の社長からの紹介でした。地方のミカタが社長のもとへ営業していたようで「地方のミカタのビジネスは回っていない。想いだけでやっている。大人が助けてやらないと」という社長の言葉を聞き、実際に会ってみることになりました。
地方のミカタでは、ご飯やコーヒーなども提供している。
当時、地方のミカタの収益源は学生が利用する就活シェアハウスの宿泊費のみで、就活シーズン以外は売り上げもなく、かなり厳しい経営状態でした。決算書を見た時に衝撃を受けたことを今でも覚えています。
入社の決め手は「社会貢献性の高いビジネスの中で、MBAで学んだことを実践出来る場」であったところですね。MBAは取ることよりも、取ってから実績を積み上げることが重要です。その点で願ったり叶ったりでした。
また「お金も人材もない」ところも魅力的に感じました。使えるリソースが少ないことは、安定とは無縁の環境で絶えず休むことなく生きていくための「生きたアイディア」が求められ続けます。自身の成長のためにも求めていた環境だなと直感しました。

新社会人の"武器"となる一冊

──現在、学生を支援されている佐久間さん。新社会人になる学生にオススメの本があれば教えてください!

「人称」に着目して、ビジネスを構造的に説明している最高の一冊です。また著者の石原明氏は私のビジネスの師匠の1人だったりします。
「仕事ができる社会人」という曖昧な指標を、人称を使って具体的にわかりやすく解説されています。
2冊目は「武器としての決断思考」です。
私自身、社会人になってからの方が「学ぶ」意識が高くなっているなと感じます。それは本書にもある「答えではなく、答えを出す方法」を探すためだからです。
特に現時点での最適解を導くために幅広い情報を「学び続ける」重要性を感じています。この著書は変化が早いビジネスの世界で、新社会人が戦うための「武器」を授けてくれる一冊です。ぜひ読んでみてください!