【第3週 予告】「石破茂=貴乃花」説にモノ申す。現実とは何か?

2018/3/18
先週までのあらすじ
政治家・石破茂氏の人生。

田中角栄氏に口説かれて三井銀行を辞め、選挙に出馬した石破氏は、29歳で初当選し、日本で一番若い衆議院議員となった。このとき、選挙に金が掛かりすぎることに疑問を抱き、選挙制度改革に力を注ぐようになる。

2期目では湾岸戦争と訪朝時の恐怖から、外交と防衛の重要性を痛感。国防にのめり込むきっかけとなった。

宮沢喜一内閣のもとで農林水産政務次官の役に就き、農政に取り組む。また『政治改革を実現する若手議員の会』の代表として、小選挙区制の導入に政治活動の多くを費やした。だが、宮沢内閣は選挙制度改革法案を葬り去ろうとしたため、内閣不信任案の採決で賛成に回った。

造反議員ということで3回目の選挙では自民党の公認を得られず、無所属で戦った。結果はトップ当選。一方、自民党は単独過半数を割り込み、野党に転落した。

自民党を離党し、羽田孜氏が率いる新生党に参加する。細川護熙連立政権が1年で終わり、羽田孜政権が誕生。喜んだのもつかの間、わずか60日余りの短命政権に終わった。世にも奇妙な自社さ連立政権が誕生して、新生党は下野する。

新生党は新進党に姿を変え、来る日も来る日も「小沢vs小沢以外」という野党内の派閥争いが続いた。「こんなことをやるために国会議員になったわけじゃない」と心が重くなるのだった。

自民党に復党、国防を勉強

自民党に復党。古巣の冷たさに図書館ごもり
国防部会の議論を聞いていると、そこにほとんど法律論がないこと、ほとんど兵器に関する専門的な議論がないことに疑問を感じます。
この年に起きたのが「北朝鮮によるミサイル発射実験」と「能登半島沖北朝鮮不審船事件」です。
現実との大きなギャップに危機感を感じ、安全保障関連の法律や防衛装備の勉強をそれまで以上にするようになっていきました。

小泉内閣の誕生

小泉純一郎に任命されて、防衛庁長官に就任
改造人事は月曜に発表だったのですが、私は前日の日曜日、地元の町内運動会に参加していました。
町長がそっと寄ってきて、「明日、内閣改造って新聞で読んだけど、先生、そろそろ大臣の声が掛かるんじゃないの?」と聞いてきました。
私は「心配しなくても大丈夫。俺、小泉さんに嫌われてるから声なんて掛からないよ。そもそも同期では年も一番下だし」と笑い飛ばしました。
実際、期待や予感があったら、前日にパン食い競走になんか出てはいられなかったでしょう。

自衛隊ほど変化を拒む組織はない

「防衛省の改革」背広組と制服組の文化を融合
「石破さん、あなた防衛省や自衛隊好きですか?」
私は「好きです」と答えると、「そうですか」とすごく悲しそうな顔をして、「あなたは必ず防衛省や自衛隊が嫌いになります」と言いました。
「どうしてですか」
「自衛隊を好きな人ほどこれはこうするべきだ、これは改革するべきだって言いたくなる。でもそれはことごとく拒絶されます。自衛隊ほど変化を拒む組織はありません」

安倍さんに敗れる

総裁選出馬のこと
平成24年9月には総裁選挙に出馬します。
ライバルは安倍晋三先生、石原伸晃先生、町村信孝先生、林芳正先生の4人でした。
9月26日に実施された投開票では1回目の投票でトップの票を獲得しますが、過半数の確保には至りません。国会議員のみによる2回目の投票では89票を獲得しましたが、108票を獲得した安倍さんに敗れます。

集団的自衛権、閣議決定

安倍総理と私の「憲法改正」ここが違う
平成26年7月、安倍総理は臨時閣議で集団的自衛権を使えるようにするための憲法解釈の変更を決定し、関連法案を閣議決定します。
これが成立すれば、日本が攻撃されていなくても、その事態を放置すれば我が国に対して重大かつ明白な危険があるときには、自衛隊は他国と一緒に反撃できるようになります。
戦後の安全保障政策は大きな転換点を迎えました。

「石破=貴乃花」説

持続可能な国にするために、やることは2つ
最近、「石破=貴乃花」ということを言う人がいるそうです。
そこでは貴乃花は世間知らずの子供だということになっていて、少しは協会のことや相撲界全体の現実のことも忖度しろというわけです。
私も貴乃花と同類で、憲法改正の議論にしても現実を見ていない子供だと。
しかし、「現実」とは──。
連載「イノベーターズ・ライフ」、本日、第16話を公開します。
(予告編構成:上田真緒、本編聞き手・構成:南部健司、撮影:遠藤素子、バナーデザイン:今村 徹)