[東京 28日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前日ニューヨーク市場の午後5時時点からやや円高の107円前半。前日海外市場でドルが広範に買われた反動で、小幅ながら売りが先行した。日銀が国債の買い入れオペを減額したことも、円買い手がかりとなった。

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長発言を受けて、海外で一時107.68円まで上昇したドルは、107円前半で東京市場の取引を開始。月末で輸出入企業など実需の売買が交錯する中、日銀がオペで残存25年超の買い入れ対象債券を前回から100億円減額して700億円としたことで、ドルは107.07円まで下落した。

ただ、市場では政府が黒田東彦総裁の続投を提示していることなどから「年初以降に海外勢を中心に広がった(日銀の)緩和縮小観測は後退している」(みずほ証券)といい、円高進行は限定的だった。

中国国家統計局が発表した2月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が事前予想を下回り、過去1年半余りで最も低水準となったことが、リスク回避的な円買い要因と指摘する声もあった。しかし、同指標は「特に製造業で春節(旧正月)休暇が下押し圧力となった可能性がある」(外銀)という。

<FRB議長は本当にタカ派だったのか>

東京市場関係者の間でも、前日のパウエルFRB議長の発言に関する議論が活発に行われている。

多くの参加者が注目したのは、議長の「個人的な経済見通しは12月以降強まった」との発言。3月連邦公開市場委員会(FOMC)で示す景気見通しの上方修正の可能性を示唆したとして、米金利先物市場では、今後の利上げ織り込み確率が上昇した。

野村証券によると、年内の利上げ予想回数は前日の2.84回から2.98回へ、19年末までの累計では同4.22回から4.44回となり、外為市場ではドルが広範に買われた。

とはいえ、3時間超行われた証言の中で、大きな関心を集めたのは、同発言を含むごく一部のみ。特に事前に公表された講演原稿の評価は「安全運転」(証券)で、質疑も多くはイエレン前議長の路線をほぼそのまま踏襲する「中道派」、「バランス型」との評が多い市場予想の範囲内だったとされる。

前日の米中短期金利やドルの上昇は、そうした市場の「中道」予想がやや過剰だった側面もあったと言えそうだ。

ドル/円<JPY=>  ユーロ/ドル<EUR=>  ユーロ/円<EURJPY=>

午後3時現在 107.05/07 1.2225/29 130.89/93

午前9時現在 107.42/44 1.2224/28 131.33/37

NY午後5時 107.31/35 1.2231/34 131.29/33

(為替マーケットチーム)