【マンガで身につく多動力】自分の時間を取り戻せ

2018/3/1
NewsPicksは「NewsPicks Book」を発展させ、幻冬舎との新レーベル「NewsPicks Comic」を創刊します。「NewsPicks Comic」は忙しいビジネスパーソンのために、良質なビジネス情報を効率的かつ面白く届けるためのコミックレーベルです。
編集長には『多動力』著者の堀江貴文氏が就任。第一弾作品として、『マンガで身につく 多動力』を発売します。今回、プロローグを特別公開(第1章は明日公開します)。
はじめに
僕は幼いころから、まったくもって落ち着きのない子どもだった。
周りが心配するほど一つのことに熱中したかと思ったら、たちまち別の興味対象へ目移りしてしまう。学校へ忘れ物をすることなんて珍しくなかったし、頭の中が空想と妄想で爆発しそうで、どうしたってミスやケガに結びつく。
「マルチタスク」と言えば聞こえがいいが、好奇心のおもむくままに手を出していただけだ。家族や教師を含め周囲の大人からは「ヘンな子どもだ」「落ち着きのない生徒だ」と白い目で見られていたことと思う。
しかし、大人になってからの僕は、ますますこの性格が強くなっていった。ライブドアが世間の話題を席巻した時期、僕の古い映像がよくテレビで流れた。東大在学中にオン・ザ・エッヂを起業したころの僕は、肩までかかる長髪だった。
あの映像を見た人は「パソコンオタクのロン毛の若者」と訝しがったことだろう。ロン毛になった理由は単純だ。あまりにも人生が多動すぎて、美容院になんて行っている暇がなかったのである。あの髪型が人から何と言われようが、そんなことは眼中になかった。やりたいことが泉のように滾々と湧いてきて、散髪なんて二の次、三の次だったのだ。
そんなことに使う時間など、なかったのだ。
寝食を忘れるほど仕事に夢中になり、今この瞬間の楽しさのために生きてきたことに、後悔はまったくない。27歳で会社を上場し、その後もテレビ局や野球チームの買収を企てたり、選挙へ出馬するなど、誰もが経験できないことをたくさんしてきた。
(ニッポン放送の株式取得について記者会見するライブドア社長時代の堀江貴文氏/写真:AFLO)
今は総勢2000名を越えるオンラインサロン「堀江貴文イノベーション大学校」を主宰する傍ら、宇宙ロケットやアプリの開発、さらにR-1グランプリに出場するなど、面白そうなことを片っ端からやっている。
僕のこの自分の人生を1秒残らず楽しみきる生き方の源泉には「多動力」がある。
そして、歴史上今ほど「多動力」が求められる時代はないと僕は思う。インターネットとスマートフォンに加え、AI(人工知能)の開発がすさまじい勢いで進む現代社会は、あらゆる産業の「タテの壁」が溶解している。もはや過去の常識は通用しない。世界のルールはものすごいスピードで書き換えられ続ける。
こういう時代のサバイバル・ゲームに打ち克つのは、あらゆる業界をいとも簡単に飛び越える「越境者」だ。その「越境者」に必要なのが、貪欲な好奇心と知識欲に駆られて百単位、千単位、万単位のマルチタスクを手掛ける「多動力」なのである。
2017年5月、僕はこの本の原作となる著書『多動力』を発刊した。自分でも驚いているが、発売から半年余りで『多動力』は累計30万部のベストセラーとなった。この本は2018年に入ってからも増刷を重ね、今を生きるビジネスパーソンのバイブルとなっている。
堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
1972年、福岡県生まれ。SNS media&consulting株式会社ファウンダー。現在は宇宙ロケット開発や、スマホアプリ「TERIYAKI」「755」「マンガ新聞」のプロデュースを手掛けるなど幅広く活動を展開。有料メールマガジン「堀江貴文のブログでは言えない話」の読者は1万数千人の規模に。2014年8月には会員制のコミュニケーションサロン「堀江貴文イノベーション大学校」(http://salon.horiemon.com/ )をスタートした。
幻冬舎の担当編集者・箕輪厚介君からの提案を受け、このたび『多動力』をマンガ化することになった。原作をもとに星井博文さんがシナリオを執筆し、三輪亮介さんがマンガの作画を担当してくださった。
常識にとらわれがちな新人サラリーマン鈴木健太郎は、「多動力」溢れる主人公・堀口靖史から影響を受けてダイナミックに生き方を変えていく。会社で普通に仕事をしていたら、いきなり無人島にワープする、奇想天外なストーリーだ。
マンガを楽しんでいただきながら、読者の皆さんに「多動力」のエッセンスを余すところなくお届けしたい。本は読んだだけでは意味がない。身に付いて体現できなければ時間の無駄だ。各章の最後にある「JUST DO IT」を実践してほしい。
マンガの最終ページを読み終わったとき、あなたが「昨日の自分とは違う自分」に生まれ変わっていることを願う。さあ、冒険の始まりだ。
2018年3月 堀江貴文
電話をかけてくる人間とは仕事をするな
鈴木「堀口さんは、どうして電話が嫌いなんですか?」
堀口「当然じゃないか。電話は“自分の時間”を奪う最悪のものだ」
仕事をしている最中に電話を鳴らされると、仕事は強制的に中断されてしまう。せっかく浮かんだアイデアだって、思考が中断されてまた一から考え直さなければならなくなる。
電話は多動力をジャマする百害あって一利なしの最悪のツールであることは間違いない。そもそも電話のような同期通信は、スケジュール調整やちょっとした打ち合わせ、連絡に使う必要はない。そんなものは非同期通信で十分だ。一日の中には、3分とか4分とか、短い隙間時間がたくさん発生する。それを利用すれば、メールやLINE、メッセンジャーを使った非同期通信でいくらでも仕事ができるはずだ。
鈴木「でも、さっきも上司に“メールしたことを電話で知らせろ”って怒られました。“ホウレンソウ(報告・連絡・相談)も、直接電話しろ。メール報告なんて無礼だ”って…」
堀口「前時代の感覚から抜け出せないヤツらは、コミュニケーションというのはお互い同時間に行う同期通信でなければならないと妄信している」
そういう上司や仕事相手とは、付き合うのをやめるか、何度言われても、しぶとくメールやLINEでホウレンソウをすればいい。時代は、同期通信から非同期通信へと移行している。大多数の人が電話を捨て、メールやLINEで連絡をするようになれば、同期通信の信者たちもそれがスタンダードなのだということが理解できるだろう。
今は非同期通信が手軽に使えるようになった画期的な時代だ。世界中どこでも、時差など気にせずに仕事ができる。忙しい現代に、未だに電話を鳴らして人の時間を奪う時代錯誤な人たちに、一分たりとも割ける時間などないのだ。
おかしなやつとは距離を取る
鈴木「堀口さんは、おかしなやつとは距離をとれって言ってますけど、どんな人ですか?」
堀口「たとえばあの課長だよ。何の悪気もなく平気で他人の時間を奪うヤツ…」
おかしな人たちというのは、人の時間を使うならきちんと対価を払うべきだという常識が通じない人たちだ。彼らは、他人の時間が有料であることを理解していない。
そしてつまらない人やウザい人、電話をかけてくるタイプの人も意識して距離を置くべきだ。彼らと付き合っていれば、時間がいくらあっても足りないし、その時間は全て無駄になる。逆に言えば、自分も「他人の時間を奪うことに鈍感」な人間であってはならないのだ。
そういった「おかしな人たち」は、多くの人と会い、経験を積んでいけば、第一印象で「こいつは面倒くさそうだな」「ややこしいタイプの人間だな」と直感できるようになる。そしてその勘は、外れなくなる。「おかしな人たち」と付き合うハメになると時間が奪われるだけでなく不愉快な思いをさせられ、まさにダブルパンチだ。
鈴木「でも、仕事だとおかしな人と付き合わなきゃならないこともあるんじゃないですか?」
堀口「そういう連中を排除するには、定期的にキレたり、強く注意すればいい」
同僚であっても部下であっても、たとえ上司や得意先の人であっても、「オレの時間を奪うな」という主張はしなければならない。そんなことをすれば上司には疎まれ、得意先からは発注がこなくなると思うかもしれないが、おかしな上司や得意先の担当は付き合ってもメリットは何もないと理解しよう。
1日は誰にとっても24時間、できるだけ有効に使うためには「付き合わない人間」を明確にしよう。人に嫌われることを恐れて、誰とでも無難に付き合っているうちに、短い人生、アッという間に終わってしまう。自分がやりたいことを実現したいなら、人の時間を奪う人間は遠ざけるべきだ。
経費精算を自分でやるサラリーマンは出世しない
鈴木「堀口さん、経費精算を人にやらせてるって噂、本当ですか?」
堀口「当たり前だ。経費精算を自分でやるサラリーマンは出世しない」
どんなに優秀な人であっても人生の時間は限られている。だから、常に多動でいるために一番大切なことは、一日24時間の中から自分が「ワクワクしない時間」をどんどん削除していくことだ。「ワクワクしない時間」はやりたくないと思ってやるから非能率的で、時間もかかるし、ストレスもたまってしまう。そんな負の時間は他の誰かがやればいい。
その「ワクワクしない時間」を象徴するのが経費精算だ。あんなものやりたくてやっている人は一人もいないはずだ。それなのにサラリーマンも公務員も、ほぼ100%が、経費や交通費の計算を全部自分でやっている。だったら自腹でアルバイトでも雇い、自分以外の他人にやってもらうのがいい。掃除や洗濯などの家事も同じだ。
鈴木「でも、それってできるの、お金持ちの人だけでしょ?」
堀口「そう考えるのは、思考停止している証拠だ。方法はいくらでもある」
例えば「COMEHOME」という家事代行サービスがある。交通費込みで1時間2500円という低価格で家事をしてくれる。この金額が高いと思っている人は、自分の価値が時給2500円以下と考えているんだろう。
もし、現在のあなたの価値がそうだとしたら、自分の価値をそれ以上に上げていかなければならない。そうするには、この本に書かれていることを実践するだけでいい。
日本には「自分のことは自分でせよ」という古い考えが残っている。しかし、家事や経費精算で貴重な時間を犠牲にするよりおカネでアウトソーシングし、自分の時間はできるだけ「ワクワクする」時間だけにしていこう。
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本日発売『マンガで身につく 多動力』