英中銀、金利0.5%に据え置き より早期に一段の利上げ必要と表明
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市場にインパクトを与えたこのメッセージの背景について、記者会見におけるCarney総裁の説明のポイントは以下の二点に集約できます。
第1に労働生産性上昇の停滞が今後も続きそうであることです。実際、同時に公表したInflation Reportの中で、今後3年間の労働生産性の見通しを下方修正しました。
第2に労働力の余力も少なくなっていると見られることです。同時に公表した議事要旨の中でも、労働力の稼働率を上げるといった対応には限界があることが指摘されています。
この二つを組み合わせると、当面の潜在成長率は高くならないという結論が導かれます。従って、緩やかな需要の拡大でもインフレ圧力が高まることになります。
しかもこのことは、Carney総裁が強調したように、BOEの見通しの通りに英国経済が推移すれば、2年後にはマクロ的な超過需要が解消するという見通しに繋がります。今まで超過需要の解消を優先するためにインフレの加速を甘受してきたのに、今後はこうしたtrade offが解消に向かうということです。
このようにBOEのメッセージは相応にもっともな議論に基づいており、だからこそ市場インパクトが大きくなった面があるように見えます。ただし、もちろん今後の英国経済がBrexitを巡る展開如何で大きく変わるリスクは残っており、その意味でBOEの構成したロジックもvulnerableな面を抱えています。実際に英求人雇用連盟(REC)の発表によると、英企業が新たに採用する従業員の賃金の上昇率が2015年6月以来の大きさになったとのこと。有能な人材が不足しているため、というのがその理由ですが、ちゃんとインフレ率上昇→賃金上昇の流れになっています。
一方で最近読んだ「アベノミクスによろしく」には、「リフレ派がいう物価上昇→賃金上昇になってないじゃないか」と痛烈に批判していましたが、これが英国と日本の決定的な『差』なんでしょう。
その『差』って?日本が世界で唯一「デフレに直面している国」ってことですよ。