(Bloomberg) -- スイスの銀行クレディ・スイス・グループは、ボラティリティーに連動した投資商品の1つを清算することを決めた。また、同様の上場取引型金融商品(ETP)十数本が、ボラティリティー急上昇で価値を失い取引が停止された。

個人を含め株式市場のボラティリティーの低さを見込む「ショート・ボラティリティー」取引に参入した投資家は利益を上げてきたが、オプション取引所のボラティリティー指数VIXがわずか3営業日で一時3倍にも上昇し、大きな打撃を受けた。米景気過熱の可能性を示唆する兆候の中で株式市場では一時3兆ドル(約330兆円)が失われた。

クレディ・スイスは同行が発行したベロシティシェアーズ・デーリー・インバースVIX短期ETN(XIV)を買い戻すと発表した。21日に償還するとしている。同ファンドの時価総額は1月下旬には20億ドルを超えていたが、米国時間6日午後4時現在は93%安。午前の大半は取引が停止されていた。クレディ・スイスは同ファンドが5日に、気配値が前営業日の取引終了時の気配値の20%以下となったことからファンドを償還すると発表した。

同様のショート・ボラティリティー商品であるプロシェアーズ・ショートVIX短期先物ETF(SVXY)も取引が停止され、6日正午前に再開されたが83%安と、時価総額で10億ドル以上を失った。そのほか十数本のVIX関連商品が値幅制限を超えたため取引が停止された。VIXは一時50を超え、その後30に低下した。S&P500種株価指数は2016年11月以来の大幅上昇となった。

ホライズンETFsマネジメント・カナダはVIX先物低下を見込むETFについて一時、取引と償還を停止した。再開後は84%安となった。ノムラ・ヨーロッパ・ファイナンスは既に、ネクスト・ノーツ・S&P500VIX短期先物インバース・デーリー・エクセス・リターン指数ETNの早期償還を発表した。同ETNの残高は324億円。

クレディ・スイスは昨年9月末時点でXIVの32%を保有していたが、これに関連したトレーディング損失は被っていないと発表した。

バークレイズはボラティリティー関連ファンドのレバレッジ解消で今後数日に2250億ドル相当の株売りが出ると試算した。

ETNやETFは、手早く容易に取引を開始する手段を投資家に提供する一方で、それに伴うリスクを巡っては批判の声も聞かれていた。資産運用会社ブラックロックは、インバース型やレバレッジ型のETPに付随するリスクについて、明確な説明を義務付ける規則の設定を呼び掛けていた。

原題:Credit Suisse Fund Liquidated, ETFs Halted as Short-Vol Bets Die(抜粋)
Credit Suisse Fund Liquidated, ETFs Halted as Short-Vol Bets Die

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Tokyo 渡辺漢太 kwatanabe22@bloomberg.net.

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