インドネシア:預金準備率引き下げによる追加緩和

インドネシア中銀は金融政策決定会合を開催し、政策金利を4.25%、預金金利を3.50%、預金金利を5.00%と据え置いた。2017年7月、8月、9月に3回連続で利下げして以降は、4会合連続で現状の金利が維持されている。
加えて、インドネシア中銀は流動性向上のため、商業銀行に要求する各種の預金準備率を引き下げると発表した。2018年7月と10月に段階的に実施する。2017年の利下げに続いて、一段と流動性を高めて景気浮揚を狙う意図があるとみられる。
2017年12月の自動車販売は8万5098台で前年比▲2.0%となったが、2017年通年では107万9886台と前年比+1.7%と増加した。ピークとなった2014年の120万8019台までは回復していないものの、101万3291台と落ち込んだ2015年から、2016年の106万1859台を経て2年連続で増加が続いている。緩やかな景気回復のペースとほぼ連動した動きを見せている。

タイ:内需回復は自動車販売にも反映

12月の自動車販売は10万4302台となり、2015年12月以来の10万台を回復した。年間の販売台数は87万1650台と前年比+13.4%となり、2014年以来、年間70万台に低迷していた自動車市場において回復傾向が見えた。輸出主導型の景気回復が徐々に内需にも波及し始めており、自動車販売の回復はその証左とも言えよう。
タイの12月の現況指数は130.8となり、11月の130.0から上昇した。また、11月の小売売上高は前年同期比+7.8%と発表され、10月の同+5.3%から加速した。
これまでのリポートでも解説しているように、タイは企業による供給サイドの景況感が先に改善され、家計消費などの需要サイドの改善が遅れていたが、2017年11月ごろか各種の指標に緩やかなペースでの改善がみられる。
まだ楽観視できるほど力強いデータは示されておらず、外部環境に左右されやすい輸出頼みではあるものの、課題であった内需部門が回復基調にあることはポジティブに捉えて良いだろう。
今後は、できるだけ早い段階でも一段、内需関連のデータで力強い数値が示されるかどうかに注目すべきだ。


マレーシア:中銀、利上げによる金融引き締めへ

マレーシア中銀は1月25日に開催した金融政策決定会合で政策金利を従来の3.00%から25ベーシスポイント引き上げて3.25%とする決定を行った。
マレーシア中銀は先進国を中心とした世界経済が力強い成長を続けており、国内経済は投資と消費がともに好調との見方を示し、インフレは原油価格の上昇を見込みやや加速するものの、コアインフレが落ち着いてるとしている。そうしたことを踏まえて、中銀は金融政策の「正常化」を図り、金融引き締めを行ったと声明文で述べている。
マレーシア経済は、5〜6%前後で好調に推移しているが、筆者としては一人あたりGDPが1万ドル近い国としては6%を超えるとやや加熱感があると考えている。筆者がヒヤリングした複数のマレーシア人エコノミストの間にも同様の意見があった。また、マレーシアは家計負債の増大がダウンサイドリスクとなっており、利上げは個人による借り入れを抑制することにも効果があると言えるだろう。
こうしたことを総合的に判断すると、経済が十分に強固なこのタイミングで金融正常化を図り、政策金利を引き上げるという判断は適切なものだと言えよう。

フィリピン:17年Q4GDPは+6.6%と高成長続く

1月23日、フィリピンの2017年10-12月期の経済成長率(実質GDP)は前年同期比+6.6%となり、7-9月期の同+7.0%から鈍化した。また、2017年通年では同+6.7%と、2016年の同+6.9%から減速した。
ただ、10-12月期の同+6.6%、2017年通年の同+6.7%という水準は、世界の新興国のなかで最も高いグループであり、今期は減速したものの、フィリピンの高成長は継続していると言える。
今期の経済成長が鈍化した主因は輸出である。2017年の輸出のGDP寄与度は、1-3月期から7-9月期までふた桁台だったが、10-12月期は+7.7%ptに減少した。ただ、2016年以前の輸出の寄与度に比べると高い水準である。今期の数字を受けて、今後の輸出動向には留意が必要であるものの、12月はクリスマス休暇など一時的な影響の可能性がある。
現時点で長期的に見れば、フィリピン経済にとって大きな課題であった輸出が、徐々に強化されているというトレンドには変わりがないと考えておいて良いだろう。

シンガポール:鉱工業生産のマイナスに留意

12月の鉱工業生産は▲3.9%と、2016年7月以来のマイナスとなった。クリスマス休暇やスクールホリデーによる影響が考えられるが、ベースとなる2016年12月は同+22.4%と近年中で最高水準の伸びを示していたため反動減と考えられる。
足元が好調なシンガポール経済は、製造業輸出が牽引しているため、今回、鉱工業生産がマイナスに転じたことは、季節要因や反動要因があると言っても、いったん留意して今後の動向を観察しておくべきだ。

ベトナム:好調な外客数の伸び続く

毎月定例の月末に発表されるマクロ統計だが、1月の外国人観光客数が143万人と前年同期比+44.0%と高い伸びを示した。また、1月の鉱工業生産も20.9%と高い伸びであり、2018年の年初として好調な滑り出しを見せている。
他方、貿易収支は▲3億ドルと2ヶ月連続の赤字となった。2月中旬のテト(旧正月)向けの消費財や日用品に対する授業が高まり、輸入が増大していることが影響しているとみられる。

次回(2/1〜15)の注目点

次回リポートの対象となる2月1日から15日には、インドネシアで2017年10-12月期および2017年の経済成長率、政策金利、10-12月期の経常収支、不動産価格指数、マレーシアで2017年10-12月期および2017年の経済成長率、フィリピンで政策金利などが発表される予定である。