【GOX元社長】誰も、僕の「教訓」から学んでいない

2018/2/3

流出事件の当事者に直撃

2018年1月26日、コインチェックで仮想通貨の流出問題が発生したとき、誰しもの脳裏をよぎったのは、「MTGOX(マウントゴックス)」のビットコイン消失事件だろう。
マウントゴックスは2014年2月に、約480億円相当のビットコインのハッキングが判明すると、わずか数日で民事再生法を申請、ユーザーらの批判が高まるなかで、4月には破産へと転がり落ち続けた。
今や、仮想通貨界隈ではコインの流出自体を「GOXする」と呼ぶほど、業界の歴史にインパクトを与えた事件。その当事者は今何を思うのか──。
NewsPicks編集部は、破綻当時マウントゴックスの社長だったマルク・カルプレス氏(業務上横領罪で公判中)に、独占取材を敢行し、その思いを聴いた。

さすがに「ダメでしょ」

──まず、最初に、コインチェックのNEM流出問題をどう知りましたか?
当日の夕方に知りました。夕食前に、インターネットに情報が出ていたのを見て、「まさかな」と思ってソワソワしていたのですが、その後、知り合いからも「やはり盗まれたようだ」と情報が入ってきて、やっぱりそうなのか、と。
深夜になって、記者会見をネットで見られると知り、じっと見ていました。
──コインチェックの会見を見て、どう思いましたか?
実際何が起こったのか分からないので、答えるのは難しいですね。ただ、質問に対して「検討中」という回答が多かったのが気になりました。当日に起きた出来事で、言えることは限られているなかで、そう答えるしかなかったのだとは思いますが。