マクロン仏大統領、臆せず中東仲介役名乗り…評価と危うさ同居
コメント
選択しているユーザー
先々週にパレスチナに赴いた際にパレスチナ自治政府の高官から直接聞いた話だが、自治政府及びファタハとしては、フランスの仲介に相当な期待を寄せている由。
パレスチナ自治政府としては、ハマースとの和解合意が期待された程の進展を見せておらず、米大使館移転決定問題でパレスチナ人の間に不満が高まる中にもかかわらず抵抗運動を組織することに逡巡して国民から不満も聞こえる内政状況と、久しぶりに世界の耳目がパレスチナ問題に向いている中、和平を進める機運にすがりたいとの思いが強い。
国連では緊急総会決議まで持って行ったことは良いが、この後が手詰まりである。また、米国に安保理で拒否権を使わせて、和平のブローカー役から引きずり下ろしたのは良いが、この後の展開に米国の関与と、それを通じたサウジの無関心の解消も必要である。
このような中、少しでも和平の端緒を米国以外の西側から確保し、次の段階で米国も乗らせる戦術を描いているように推察される。
注目のコメント
フランスおよびEUにとって中東の紛争抑止は難民流入への対処も含めて、広義の安全保障に直結する問題です。フランスはかつてレバノンやシリア、アルジェリアやチュニジアに対して宗主国的な地位にありましたが、第二次大戦後に中東への影響力を失って久しいです。
フランスがパレスティナ問題の仲介をしようとする場合、致命的なのはイスラエルへの影響力をもっていないことです。かつて影響力をもっていたいくつかのアラブ諸国の代弁をすることはできますが、イスラエルには相手にされないでしょう。
パレスティナ政府もフランスへの期待はもっていないでしょう。米国に代わる仲介者として、先日パレスティナ政府の代表団がロシアと中国を訪問しました。彼らが期待している(もしくは米国やイスラエルへのブラフの効果があると考えている)のはこの二カ国なのでしょうが、ロシアはともかく中国は中東への本格的な影響力はなく、火中の栗を拾おうともしないでしょう。ロシアはイランやシリアとの連携関係があることから、イスラエルを牽制しようとすることは考えられます。ロシアにとっては、米国の中東地域への影響力を揺るがすうえでも、使い道のあるカードではあるでしょう。ただし、イスラエルがロシアに仲介者の役割を期待するということはありませんが。パレスチナによる米国拒否によって空いたイスラエル・パレスチナ和平の仲介役のポストにフランスが積極的な姿勢を示しているとのこと。
米国は、国際社会が推進する2国家案(イスラエルと将来建設するパレスチナ国家の共存)を阻害する目下の問題であるイスラエルによるヨルダン川西岸地区へのユダヤ人入植地と分離壁の拡大、ガザ地区での武力封鎖などに対し有効な手立てを打てませんでした。
現状維持でじわじわと首を絞められているパレスチナにとっては、フランスの仲介により変化が起きると期待をもてる可能性はあるでしょう。
一方、イスラエルは親友アメリカに代わって間に立とうとするフランスを真剣に相手をするでしょうか。自国の存在感を取り戻したいという下心が丸見えで、過度な期待はしない方が良さそうですね。
アラブの春の時も旧宗主国として何も出来なかった(しなかった)のに、今更出てきても大きな影響力は行使できないでしょう。