【ドミニク・チェン】今の「AI脅威論」の議論に、決定的に足りないこと

2017/12/25

なぜLINEは日本で流行ったか

──興味深いのは、そうした一見、言語学的、人文科学的な問題を、テクノロジーからのアプローチで研究されているところです。
言語とテクノロジーのつながりでいうと、メッセンジャーアプリの分布は、すごく面白いですよね。
例えば、日本だとLINEが強いけど、フィリピンだとViberが強いとか、インドだとWhatsAppがすごく使われている、という分布がありますが、これは言語相対論的な分布として見られるかもしれない。
もちろん、それぞれの地域で先行者利益があって、先に市場を握ったアプリが絶対有利という側面もあります。
だけど、では、なぜ日本のLINEでスタンプが生まれ、アメリカだとフェイスブックメッセンジャーでアニメGIFが人気なのか、という違いは経済要因だけではないところで生まれている気がしますね。
その本質は、文化によって敏感になる「クオリア(感覚質)」が違うということです。