【初公開】ビル・ゲイツが、後継者と語る「復活」への本音

2017/12/16
特集「マイクロソフト復活」の第7回目は、ビル・ゲイツが、自身の後継者たるサティア・ナデラと答えた米ウォール・ストリート・ジャーナルマガジンによる貴重なインタビューを本邦初公開。求められるリーダー像や、グーグルやアップルなど競合にも言及するなど、意外な「本音」が語られている。

ゲイツ時代を超えた

2014年2月、サティア・ナデラはマイクロソフトの3代目CEOに就任した。
前任者のビル・ ゲイツやスティーブ・バルマーに比べ、物腰の柔らかいナデラがトップに就任した時、会社は史上有数の波乱に満ちた時期にあった。バルマーは14年にわたる任期の終盤、ノキアの携帯電話事業を巨額の費用(72億ドル)で買収したが、アップルとサムソンに支配された市場に突破口を開くことはできなかった。
ナデラ氏はすぐにそのような野望は否定し、代わりにAI(人工知能)やクラウド・コンピューティングへの投資を増やした。結果、クラウドサービスの利益の大きな成長、前年比2倍の利益率、そして会社史上最高値の株価といった目覚ましい好転が見られた。
彼の新著『Hit Refresh』では、50歳のナデラ氏によるマイクロソフト変革についての説明に、技術の進歩に対する自身の希望に満ちた展望、さらに彼の豊かな経歴について語られている。
インドでサンスクリット学者の母、そしてマルクス主義者で公務員の父の下に生まれたナデラは1988年、21歳の誕生日の時にウィスコンシン大学ミルウォーキー校でコンピューターサイエンスの修士を取るためにアメリカへと移住した。
彼は1992年にマイクロソフトに加わり、OSのWindows NTの「伝道師」となった。国中をまわり、法人顧客に対してソフトウェアのデモを行ったのである。 その間、彼は週末を利用してシカゴ大学のパートタイムMBAを修めた。マイクロソフトの頂点に向けて駆け上がる中、彼は結婚し、3人の子供をもうけた。ナデラは、生まれつき脳性麻痺を患う21歳の息子のザインさんを含め、子供たちが、仕事と私生活の両方で「物の見方」を穏やかなものにしてくれた、と語っている。

ゲイツが語ったAIの進化

前書きでは、マイクロソフト共同創業者で25年間トップに君臨し、現在はビル&メリンダ・ゲイツ財団の共同議長となっている61歳のビル・ゲイツが、ナデラの謙虚さと現実主義について称賛している。
ゲイツはまた、初めて明かされるナデラの文学(リルケ、ニーチェ、ゲーテなど) やクリケット(ナデラはかつて熱心なアマチュア選手であり、現在も熱狂的なファンである)に対する驚くべき造詣の深さについても語っている。
ゲイツは最近、ワシントン州レドモンドにあるマイクロソフトの広大なキャンパスにあるナデラの役員室に立ち寄り、マネジメントエトスから移民政策、技術の進化における可能性と危険まで、幅広い話題に触れた議論に加わった。
マイクロソフト歴代3人のCEO。左からビル・ゲイツ、サティア・ナデラ、スティーブ・バルマー

経営者は「ハードコア」だけでは無理