【実録】リストラからの大逆転。知られざるブルーボトル創業物語

2017/11/22
サードウェーブのけん引役
コーヒーファンにとっては衝撃的なニュースだったかもしれない。
2017年9月、ブルーボトルコーヒーはネスレの傘下に入ることを発表した。
ブルーボトルは、豆の新鮮さと、種類の豊富さ、そして機械ではなく、スタッフが一杯のコーヒーを丁寧に淹れるハンドドリップを特徴とするコーヒーチェーンだ。
(写真:冨岡久美子)
非効率であっても、質の高いコーヒーの味と顧客体験を追求するという姿勢を貫く。
こうしたコーヒースタイルはサードウェーブと呼ばれ、大量生産、大量消費という効率重視ではない新たなコーヒーのムーブメントとして、業界内外からの注目を集めている。
だからこそ、一部のブルーボトルファンからは、「応援していたインディーズバンドが、大手レーベルに移籍したようなもの」などという、世界最大の食品会社であるネスレの傘下入りを嘆く声も上がっている。
サンフランシスコの小さなガレージから始まり、ファーマーズマーケットに出店してから15年。ブルーボトルはどんな道筋を歩んで来たのだろうか。
創業者を襲った「悲劇」
今やコーヒー界の寵児として業界の注目を集めるブルーボトルだが、彼らの成功の歴史は、創業者であるジェームス・フリーマンに襲い掛かった、ある「悲劇」から始まっている。