【真相】ネスレ高岡社長が語る、ブルーボトル買収の裏側

2017/11/20

コーヒー新時代の到来

2017年初春、ネスレのマーク・シュナイダーCEOは、米国はニューヨークのブルックリンにいた。
世界最大の食品企業であるネスレのCEOともなれば、社内の会議から世界中の政財界の要人との付き合いまで、スケジュールが分単位で詰め込まれ、重要案件がない限りおいそれと出張に出るわけにはいかない。
にもかかわらず、本社のあるスイスのヴェヴェーから半日以上かかるブルックリンを訪れたのは、今、世界で最も注目されているコーヒーチェーンの焙煎所をその目で確かめるためだった。
ブルーボトルコーヒー──
米国内に40店舗を持ち、日本でも7店を構えるこの企業こそ、今世界で最も注目されているコーヒーチェーンだ。
(写真:飛塚倫久)
ブルーボトルの特徴は、豆の新鮮さと、種類の多さ、そして機械ではなく、スタッフが一杯一杯のコーヒーを丁寧に淹れるハンドドリップにある。
彼らのコーヒースタイルはサードウェーブと呼ばれ、ブルーボトルが2002年に米国で創業するとサンフランシスコのテック界隈の人々を中心に愛されるブランドになった。
こうしたコーヒーの新潮流を、王者ネスレは見逃さなかった。2017年9月14日、ネスレはブルーボトルを買収することを発表。その額、約470億円。サードウェーブブームの火付け役を、いち早く自軍に取り込んだのだ。
なぜ、ネスレはブルーボトルの買収を決めたのか。ブルーボトルの何が消費者に受け入れられているのか。
シュナイダーCEOとともに、ブルーボトルの買収案件に関わったネスレ日本の高岡浩三社長を直撃した。
高岡浩三(たかおか・こうぞう)/ネスレ日本代表取締役社長兼CEO。1983年、神戸大学卒業後、ネスレ日本に入社。ネスレコンフェクショナリーマーケティング本部長として「キットカット受験生応援キャンペーン」を成功させる。2011月より現職。「ネスカフェ アンバサダー」などの新しいビジネスモデルの構築を通じて高利益率を実現する。

ブルーボトルを買収した理由

──コーヒーの王者ネスレが、ビジネスモデルが全く異なるブルーボトルコーヒーを買収したことは、世界のコーヒー業界に衝撃を与えました。
皆さん気になりますよね、なぜブルーボトルを買収したのがネスレなのかと。