(Bloomberg) -- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、休職命令は無効だとする外国人幹部の仮処分の申し立てをめぐり、記者会見などで述べた内容が名誉棄損にあたり社内規則に抵触した可能性があるため、今後こうした行為を慎むよう警告したことが分かった。

ブルームバーグが閲覧した11月10日付の同幹部代理人宛ての書簡によれば、同社は機関投資家営業部のグレン・ウッド特命部長(47)が顧客名等、仮処分申し立てに必要ない情報を無断で社外に出したほか、2度にわたる会見での発言が信用と名誉を傷つけ、利益を害する行為が就業規則に違反している可能性があると主張している。

ウッド氏は10月、正当な理由なく出された休職命令は無効であるとして地位保全の仮処分を東京地方裁判所に申し立てた。申立書によると、育児休業の取得申請を機にハラスメントを受けうつ病を発症、復職可能と診断を受けた後に休職命令を受けたと主張している。

三菱UFJモルガンの広報担当者はコメントは控えると述べた。ウッド氏はブルームバーグの電話取材に対し、会見などでの発言について「正直に伝えたつもりだ」、今後も「真実を語っていく」と述べた。

ウッド氏は2012年7月、ゴールドマン・サックスから三菱モルガンに転職。東京および海外の機関投資家向けに日本株などのセールスチームを統括していた。15年にパートナーの女性が出産することになり育休を申請したが、当初は人事部から母子手帳を持っていないことを理由に許可されなかったという。育休が正式に認められたのは出産の約2カ月後、父子関係を証明するものとしてDNA鑑定書を提出するに至った。

厚労省、FCCJで会見

その後、ウッド氏は育休取得後に復職した16年3月頃から業務上必要なミーティング予定も教えてもらえなくなるなどハラスメントを受け、心身に変調をきたすようになったという。17年1月からは、うつ病で休養加療が必要との診断を受け休職をしていたが、復職は可能との診断書を得て、本人も希望したにもかかわらず、今年10月、同社は賃金支払いのない休職命令を出した。

申立書によると、同社は休職命令は「安全配慮義務」によるものと説明。また、育休後に業務から外す措置をとったのは、子育て中であることを配慮した結果でハラスメントとの受け止めは誤解だとウッド氏に伝えていたという。

同氏はこうした経緯を10月、厚生労働省で開かれた記者会見で説明。11月には日本外国特派員協会(FCCJ)での会見でも意見を述べていた。

社内調査へ

三菱モルガンは10日付の文書で、今後、社内規則違反となる行為を厳に慎むよう求め、既に行われたウッド氏の行為については社内調査を行うとし、その結果、しかるべき手続きを行う可能性があると述べた。

休職命令は無効だとする地位保全の仮処分事件については、10月26日の申し立て以降、東京地裁で裁判官との面談が行われているが、何ら決定には至っていない。

三菱UFJモルガン・スタンレーは三菱UFJフィナンシャル・グループと米モルガン・スタンレーの合弁で、モルガンSが40%の株式を保有している。従業員数は3月末時点で5,264人。

英語記事: Mitsubishi UFJ Escalates Spat With Manager Alleging Harassment

(第10段落以降に仮処分事件の進捗状況などについて追加しました.)

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