船酔いしない人のタイプ
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船酔いなどの乗り物酔いは、専門的には「動揺病(Motion Sickness)」と言われ、その要因については、視覚、聴覚、体勢感覚、中枢神経、等の影響が指摘されており、「感覚不一致説(sensory conflict theory)」が一般的な学説ですが、明確な要因については現時点で不明です。
乗り物酔いの分野では、船舶分野で、1974年のJames F. O'Hanlon等による306人の被験者に上下正弦波振動を「吐くまで」与えて行った歴史的な(無慈悲な)研究があります。
Motion sickness incidence as a function of the frequency and acceleration of vertical sinusoidal motion.
O'Hanlon JF, McCauley ME. Aerosp Med. 1974 Apr;45(4):366-9.
http://www.dtic.mil/dtic/tr/fulltext/u2/768215.pdf
台座に載せた被験者に、様々な加速度と周波数の振動を「嘔吐」させるまで与えて計測し、どれだけの周期運動を与えれば何割の人が「嘔吐」するかを予測できるモデル式と指標「MSI(Motion Sickness Incident)」を導き出しています。
この結果によると、最も酔いやすいのは、0.2-0.33Hzの周波数で、加速度が高いほど発生率は高くなるとのこと。
しかし、この研究では「吐く」人数の割合が基準になっており、「かなり気持ち悪くなって吐いた」人と「あまり気持ち悪くなかったのにいきなり吐いた」人を区別できないという問題があります。
そこで、後発研究では、観察評価による指標Graybiel's scaleや、被験者の主観的評価による不快度指数の策定などの様々な研究が行われています。ただ、胃に来る人もいれば来ない人もいて、症状は個人や環境に大きく依存するため、一般的な「酔い」の度合いを定義するには至っておらず、Graybiel自身も、生理指標では測れないと結論づけています。
今回の研究では、主観指標のようです。呼気の二酸化炭素濃度と関係しているというのは興味深いですが、船酔い防止の技術に役に立つのか。
微電流を頭に流すと酔いが軽減されるという報告はあります。