「採用氷河期」突入か? 一括採用の限界を問う

2017/11/15
NewsPicksは、J-WAVE「STEP ONE」(毎週月~木 9:00~13:00)と連携した企画「PICK ONE」(毎週月~木 11:10~11:20)をスタートしました。
15日は、酒井 穣(さかい・じょう)さんが出演。
酒井さんは、商社に勤務されたのち、オランダのメーカーに転職。およそ9年間オランダで過ごし、帰国後は一部上場企業にて取締役などを歴任。現在は、新規事業開発のコンサルティング会社 steekstokの代表をされています。今日は「内定辞退、最多の6割超」(産経ニュース)をテーマに新卒採用担当者のリアルな現場について、お話いただきました。
POINT 1:
就職氷河期ならぬ“採用氷河期”
2018年春に卒業予定で、企業から内定を得た大学生のうち、辞退を申し出た割合は、10月時点で64.6%。この6年間で最も高い辞退率となった。
「内定辞退率の高さは、企業経営の視点からみると、採用コストがかかることを意味します。
私の世代が就職したときは、いわゆる就職氷河期といわれていましたが、いまは逆に、採用する側が苦労する“採用氷河期”と呼ぶことができそうです。
最近の日本の状況をみると、社員の給与が上がらないことや、非正規雇用者の増加が問題視されるなど、労働者にとって望ましいとは言いがたい状態が続いていました。
内定辞退が増えるのは、企業にとっては苦しい状況ですが、学生にとっては選択肢が増えたということ。『君はいらないよ』と言われるよりも、多くの企業から『うちにおいで』と言われて、その中から選べるようになるのは、本当はいいことですよね」(酒井さん)
POINT 2:
懸念は「採用担当者のメンタルヘルス」?
「問題を感じる点はありますか?」(サッシャさん)
「しいてあげるなら、採用担当者の心理的負担でしょうか。
私も以前、新卒採用を担当していましたが、学生のひとりひとりを好きになるんですよ。会社の代表として学生に接する責任感もあって、真剣に対峙するため、複数人から内定を辞退されてしまうと、心が折れて辛くなるだろうなと想像します。
内定を辞退する学生の中には、メール1通で辞退してしまう方もいるでしょう。内定を出した側としては、辞退した理由など聞きたいところですがそれも難しい…。
私自身の学生時代を振り返ってみても、自分が何を好きかも分かりませんでしたから、学生が内定を辞退する心情は理解できます。ただ、そのひずみは採用担当者に集中しますので、ミクロの視点で考えると気の毒になりますね」(酒井さん)
POINT 3:
一括採用の限界を、採用の多様化で乗り越える
「この数年で、就活スケジュールも変わりました。
以前は大企業が3月、4月に早々と内定を出して、そこからは『大手からはオファーが来なかったけれど優秀な学生さん』を中小企業がすくい上げていました。

ところが、経団連の指針によって就活協定を結んだため、大企業も8月以降まで内定を出すのを控えるようになりました。つまり、先に中小企業から内定をもらった学生が、大企業の結果を受けて内定辞退する流れができたことも、辞退率が増加した要因の1つです」(酒井さん)
「新卒一括採用だけでなく、もっと多様な採用があってもいいのではないでしょうか」(サッシャさん)
「企業側も、普段からアルバイトやインターンをつうじて学生と関係をつくり、よい出会いがあれば直接スカウトするなど、採用方法は多様化するでしょう。そうすれば、おのずと一括採用も減っていくのではないでしょうか」(酒井さん)
今回のニュースをはじめとした酒井さんのコメントは、ぜひ以下からチェックしてみてください。
16日は、ベネクス代表の中村 太一さんが出演予定です。こちらもお楽しみください。

【番組概要】放送局: J-WAVE 81.3FM
番組タイトル: PICK ONE
ナビゲーター: サッシャ、寺岡歩美(sugar me)
放送日時: 毎週月~木曜日11:00~11:20(ワイドプログラム『STEP ONE』内)
番組WEBサイトはこちらをご覧ください