[東京 8日 ロイター] - 欠陥エアバッグ問題で経営破綻したタカタの民事再生手続きで、自動車メーカーが負担したリコール(回収・無償修理)費用など、債権者側が東京地裁に届け出た債権総額は約3兆7700億円に上ったことが、ロイターが入手した地裁提出資料で明らかになった。タカタ側はこのうち約2兆7000億円を受け入れておらず、地裁が認可すれば同社の負債総額は約1兆0500億円で確定する見通しだ。

関係者によると、タカタが認めなかった届け出債権2兆7000億円のほとんどは、自動車メーカーによるリコール費用の求償分。負債総額約1兆0500億円の中にはリコール債権が6000億円程度含まれているものの、約1億個超に達している欠陥エアバッグ部品のリコールは、その費用の大半を自動車メーカー各社が負担することになる。

タカタ側の債権認否状況について、タカタ製エアバッグの異常破裂で死亡事故が発生し、リコール台数の多いホンダは「法的にできる対応を引き続き検討中だ」(広報担当者)としている。

タカタは6月26日に民事再生法の適用を申請。その際に同社が公表した負債総額は約3800億円(1ドル=111円で換算)だったが、これには自動車各社が肩代りしていたリコール費用は含まれていなかった。各社との補償合意ができていなかったためで、金額の確定は再生手続きに委ねられることになっていた。

タカタの再建は中国の寧波均勝電子傘下の米自動車部品メーカー、キー・セーフティ・システムズ(KSS)がスポンサーとして支援する。タカタは問題となったエアバッグ部品のインフレーターなど一部の事業を除き、実質的にすべての事業と資産を1750億円でKSSに譲渡する。関係者によると、まもなく最終合意する見込みだ。

タカタは11月27日までに再生計画案を東京地裁に提出、その中で債権の弁済率を示す見通し。弁済に充てる原資はKSSへの事業譲渡で得た資金などに限られる一方、米国司法省による罰金や仕入れ先への約300億円の支払いが優先されるため、社債、銀行借入金、リコール求償権などの一般債権の弁済率は1割未満になる可能性が高い。

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(白木真紀)