(Bloomberg) -- 人が好きなことをしようとするのを手助けするのが、共有オフィス運営を手掛ける米ウィーワークの使命だ。今や200億ドル(約2兆2800億円)の価値があると評価される同社が次に目指すのが幼児・児童向けの教育だ。

「コ・ワーキングスペース」を展開する新興企業のウィーワークは「起業家精神」を育むための私立小学校をニューヨークで来秋始める準備をしており、そのためのパイロットプログラムはすでに進行中だ。同プログラムに参加している5人のうちの1人は創業者ニューマン夫妻の子供だ。

インタビューに応じた夫人のレベッカ氏は「私の本には小学生がビジネスを始めることができない理由は書いていない」と語る。「混乱」した大人になるを待つのではなく、子供たちは早いうちから情熱を育て行動することを学ぶべきだとの考えだという。

パイロットプログラムでは5-8歳の子供たちが農場で授業を受ける日もある。それ以外の日はウィーワークのマンハッタン本社に近い教室で同社の顧客である起業家らからビジネスについて学んでいる。

コロンビア大学ティーチャーズカレッジの全米民間教育研究センターでディレクターを務めるサミュエル・エイブラムス氏は、こうした年齢の子供たちに「アイデアを収益化」するよう奨励するのは弊害があるとの見方を示す。「植物がどのようにして育つのか、どんなに多くの種類の生物がいるのかといったことを考えるべき時に学ぶ楽しむことを奪うことになる」と話す。

だが、伝統的な教育こそが「全ての子供たちに本来備わっている起業家精神と創造性を押しつぶしている」というのがレベッカ氏の主張だ。

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レベッカ氏は夫のアダム・ニューマン氏、それにミゲル・マッケルビー氏と共にウィーワークを2010年に創業。アダム氏が最高経営責任者(CEO)、マッケルビー氏が最高クリエーティブ責任者(CCO)に就いている。レベッカ氏は最高ブランド責任者だ。

元イスラエル海軍士官のアダム氏(38)は子供の頃、イスラエル独特の集団農業共同体であるキブツで生活したこともある。同氏が目指すのは「資本家のキブツ」、起業家にとってある種のユートピアだ。

ウィーワークは世界52都市で約15万人の顧客を抱えるが、アダム氏は同社の顧客を「ウィージェネレーション」とブランド化。「世界を大切にし、クールなことを本当にしたいと願い、働くことを愛する」協業体と見なしている。

来秋から始まる小学校では3歳以上の約65人の幼児・児童を受け入れる計画だ。

ヨガを教える有資格者で元女優でもあるレベッカ氏によれば、ニューマン家では仕事と生活の間に「線引きはない」。「私たちの子供はオフィスにいる。私は好きなことをしているし、夫も好きなことをしている。子供たちはそれを見ているのが好きで、好きなことをしている」のだという。

原題:Co-Working Giant WeWork Is Going After the Kindergartners Now(抜粋)

: 東京 笠原文彦 fkasahara@bloomberg.net.

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