【金融政策】出口なき「黒田緩和」の行方
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記事途中でホワイトが述べているように、金融政策にしろ、財政政策にしろ、裁量的なマクロ経済政策の本質的な役割は「時間稼ぎ」ゆえ、その間に構造改革、安倍政権においては労働規制改革が思うほど進まなかったことが過去5年間で最も残念なことだったと言えるでしょう。裏を返せば、これほどのポリティカルキャピタルをもってしてもこの論点を突破するのは難しいということなのかもしれません。
また、この時期になると次期総裁人事について問われることが多くなりますが、そもそも株価が政権の通信簿となってしまっている以上、黒田さんであれ、それ以外であれ、正否は別にしてリフレ路線の継続以外は政治的に選びえないことだと思います。
最後に「出口」という言葉が出ると直情的に反応する向きがありますが、そもそも出口戦略を「考えていないこと」と「考えているけど言わないこと」は違います。私は後者であって欲しいと思いますし、戦略である以上、出口もセットで常に検討されているのが当然でしょう。それを今言うか、言うべきでないかという議論はあっても良いと思いますが、「そんなもの考える時じゃない」という意見はやや乱暴だと思います。政策効果を信じていればこそ、考えるべきなのではないでしょうか(繰り返しますが、それを言うかどうかは別です)。本稿では今年5月のバーナンキFRB前FRB議長の講演内容のほんの一部分を切り取って持説に都合の良いように「懺悔の言葉」として紹介していますが、実際にはそれで話が終わっているわけではありません。
今後について「金融政策と財政政策の協調についての議論が避けられない」、「そうした政策協調の実行方法はいろいろありうるであろうが、考えられる方策の鍵 となる要素は、①政府は新規の財政支出と減税にコミットすること、②中央銀行はその政策が日本の政府債務残高対 GDP 比に与える影響を打ち消すために 必要な手段をとると約束することである」と主張されています。
またこの「金融政策と財政政策のより明示的な協調」を受け入れなかった場合は「インフレを引き上げる闘いを放棄し、その 上さらなるデフレが広がることを受け入れる以外に現実的な代替策はないように思われる」、「この代替策は、 極めて残念な結果といわざるをえない」ともおっしゃっています。
要はこれまでの金融政策のみに着目し財政政策を所与とするのではうまくいかないものの、それで無為無策というわけではなく、政府と日銀が協働して財政政策と金融政策を実行することが今後は肝要だということです。
このように本稿とは比較にならないくらいバーナンキ前FRB議長の講演での発言は建設的なものと個人的には思います。それぞれに立場というものがあるので仕方ない部分もあるのかもしれませんが、それであればなぜこのような取り上げ方をしたのか本稿には疑問が残ります。
「日本の金融政策に関する一考察」(ベン・S・バーナンキ)
http://www.imes.boj.or.jp/research/papers/japanese/17-J-12.pdfそうはいっても、他国がインフレ目標2%掲げているわけですから、日銀だけ旗を下ろすことはできないでしょう。円高が進んでしまいますから。また、国債バブルとの指摘がありますが、YCCで国債価格をコントロールしてるわけですから、バブルではないでしょう。