(Bloomberg) -- 神戸製鋼所の株価は10日、前週末比300円(22%)安の1068円のストップ安で取引を終えた。アルミや銅の製品の一部でデータを改ざんしていたことが明らかとなり、同社のコンプライアンスに対する姿勢や業績への影響を懸念した売りが殺到した。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の黒坂慶樹シニアアナリストは9日付の投資家向けリポートで「神戸鋼の失った信頼の代償は大きい」として、「中長期的な影響は深刻となる可能性がある」との見方を示した。株価への影響については「コンプライアンスに問題を抱える企業は投資対象として劣後する傾向がある」として、「ネガティブ」としている。

JPモルガン証券の森和久アナリストは10日付のリポートで「コスト負担は今後のリコールを含めた対応次第で大きく変わるとみられる」と指摘。「仮にアルミ製品の年間販売対象となった5%をベースとした場合、神戸鋼が全量コスト負担した上で交換を行うコストは100億-150億円規模と試算される」とした上で「顧客離れが同部門のみならず、他部門にも及ぶ可能性もあり、一定規模の影響は覚悟する必要があるだろう」との認識を示した。

神戸鋼は8日、顧客の製品仕様に適合させるため、強度などの検査証明書のデータを書き換えて出荷していた事実が判明したと発表した。現時点で分かっているのは、出荷期間の対象が2016年9月1日から17年8月31日まで。内訳はアルミの板や押出品が約1万9300トン、銅板条や銅管が約2200トン、アルミ鋳鍛造品が約1万9400個。

神戸鋼では具体的な出荷先については明らかにしていないが、納入先は約200社に及ぶ。出荷先企業に対し、品質への影響についての技術的検証を顧客と共に実施しており、これまでの検証・調査では安全性に疑いを生じさせる具体的な問題は確認されていないとしている。 業績への影響については判明した時点で公表する予定。

昨年6月には、約3割を出資するグループ会社の神鋼鋼線工業の子会社が製造するばね用ステンレス鋼線の一部でデータ改ざんが見つかり、規格外品を出荷していたことが分かっている。

(株価終値を更新します.)

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