[13日 ロイター] - 米アップル<AAPL.O>が発表した新型スマートフォン「iPhone(アイフォーン)X(テン)」、「8」、「8プラス」を販売する米通信各社は、販売プランの設定にあたり、従来ほどの「お得感」を出していない。

通信キャリアは長年、新型機種の発売に合わせて無料サービスや値引きを行い、シェア拡大を図ってきたが、携帯電話が広く普及する中で前四半期の顧客離反率は過去最低水準に低下。顧客獲得のために高いコストを掛けてプロモーションを行う緊急性は薄れているとアナリストはみる。

調査会社モフェット・ネイサンソンの通信アナリスト、クレイグ・モフェット氏は、背景には従来のプロモーションへの反省があると指摘。アイフォーン7販売時に展開した下取りサービスは同業他社に模倣されやすく、結果としてコストがかかるだけで競争上優位に立てない状況に陥ったという。

米大手キャリア4社の販売プランは以下の通り。

TモバイルUS<TMUS.O>は12日、アイフォーン6かそれより新しい機種を下取りに出し最新アイフォーンを購入する場合に300ドル値引きすると発表。

ソフトバンク<9984.T>傘下のスプリント<S.N>は、アイフォーン6かそれより新しい機種を下取りに出しアイフォーン8を購入する場合には、月額リース料金を半額とする方針。一部のアンドロイド端末も下取り対象となる。

AT&T<T.N>は、機種を1年ごとに更新するプランでアイフォーン「8」か「8プラス」を購入する場合にタブレット端末「iPad(アイパッド)」(容量32ギガ)を100ドルで販売する。

ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ.N>は、特定の機種を下取りに出し、無制限プランを申し込む場合にはアイフォーン「8」か「8プラス」を300ドル値引きする。

BTIGリサーチによると、昨年のアイフォーン7発売時、大手4社はアイフォーン「6」、「6S」あるいは高性能のアンドロイド端末を下取りに出す場合に最大650ドルを還元するサービスを実施しており、今年のプロモーションは昨年よりも「お得感」で劣る。

ジェフリーズのアナリストは13日のリサーチノートで、昨年のアイフォーン販売のプロモーションでキャリア各社の利益が圧迫されたことを踏まえると、今年のプランは「より合理的だ」と分析する。

キャリア4社は、アイフォーンX販売でインセンティブを付与するかどうかなど、アイフォーン販売プランの詳細をこれ以上は明らかにしていない。