ファッションとクラウドファウンディングは親和性が高い

2017/8/23
NewsPicksは、J-WAVE「STEP ONE」(毎週月~木 9:00~13:00)と連携した企画「PICK ONE」(毎週月~木 11:10~11:20)をスタートしました。
23日は、三星グループ代表の岩田真吾さんが出演。「『サプール』の写真展が全国4会場で開催 10万円の特別チケットも」(WWD JAPAN)を題材に、サプールの魅力やクラウドファウンディングの可能性などについて解説しました。

サプールとは何者か

サッシャ 今日は、「『サプール』の写真展が全国4会場で開催 10万円の特別チケットも」というトピックにフォーカスです。
寺岡 解説してくださるのはNewsPicksの公式コメンテーター「プロピッカー」の岩田真吾さんです。
岩田さんは、1887年に創業した繊維・樹脂メーカーである三星グループの代表でいらっしゃいます。
自社ブランドも国内外に展開し、今年9月には代官山に新しいショップがオープン予定です。おはようございます。
岩田 おはようございます。
サッシャ まずは、サプールとはなんですか?
岩田 ほとんどの人が聞いたことがない言葉だと思うんですが、アフリカのコンゴで「SAPE」というファッションを楽しむ人たちのことをサプールと呼びます。
サプールは、世界で一番オシャレなジェントルマンとも言われていています。
SAPEは、「お洒落で優雅な紳士協会」(Société des ambianceurs et des personnes élégantes)という意味のフランス語の頭文字をとったものだそうです。
コンゴはフランスの植民地だったので、フランス語だったりオシャレだったり、文化的な影響を受けていることが背景にあるようです。
サッシャ このSAPE、そしてサプールがなぜ今注目を集めているんですか?
岩田 サプールが日本で知られるようになったのは、2年くらい前のNHKの特集だったと思います(NHK総合「地球イチバン 世界一服にお金をかける男たち~コンゴ~」)。
私も偶然テレビで見たんですが、大げさなんですけれど涙が零れ落ちるくらい感動したんです。
サッシャ ファッションで涙したんですか?
岩田 そうなんですよ。どういうことかと言うと、ファッションってこんなにピュアで力があったんだなという原点を思い返させてくれるような内容だったんです。
コンゴは世界における最貧国の一つで、内戦も2度起きていて、治安も悪く、国民の平均月収が3万円以下なんですね。
ただ、そんな国で若者がサプールを見て「自分たちも、ああなりたい」と言って、仕事をし始め、さらにコンゴではツケ払いができないので貯金もするようになったそうです。
それで買った服を着て、週末に街を歩く。そうすると、街の人やストリートチルドレンが「カッコいい」と感動するんです。
そして、「カッコいい」と言われると彼らもうれしいから、「尊敬される人にならないといけない」と思うようになる姿が描かれていました。
今度は、そんな姿を見たストリートチルドレンが、彼らを目指すんです。
ファッションには、こういう力があるよねと思ったんです。たぶん「カッコいい」と言われて誇らしく思うことって、誰にでもある原体験の一つだと思うんです。
サッシャ 着ているものを「いいね」と言われたらうれしくなりますもんね。
岩田 そういうことを思い出させてくれますし、われわれファッション業界の人間は正直厳しいことを言われることも多いんですけれど、やっぱりこの原点があるから頑張りたいと思わされますし、それが一般の人々にも共感を呼んだんじゃないかと思います。
サッシャ 面白いですね。ファッションで外面を磨くことによって、内面も磨きたくなると。
寺岡 やっぱりビシッとした服を着ると、気持ちがシャキッとしますもんね。
これは日本の百貨店で写真展が開催されているとのことですよね。

クラウドファウンディングの利点

岩田 サプールの写真展自体は、これまでにも百貨店で開催されたことはあるんです。百貨店が写真展を開くことも昔からありました。
今回は、大丸松坂屋がサプールの写真展を開催するにあたって、クラウドファウンディングによるチャレンジをしたことにニュース性があると思います。
そこでは、サプールとのプライベートパーティーに参加できる特典などを付けました。
一番高額な支援をすることで手に入る特典は、サプールがコーディネートしてくれるんです。
サッシャ へえー! いいね。
寺岡 面白そう。
岩田 絶対自分では着ないような服を選んでくれると思います。
あと、クラウドファウンディングという取り組み自体は、色んな業界にありますけれども、ファッションとの親和性がすごく高いと思うんです。
ファッション業界は、今まで見込みでモノをつくってきたので、在庫がたくさん残った場合、みなさんセールですごく安くなるのを見ていますよね。
あれは、つくっている方も心苦しいんですよね。残したいものをつくっている人はいないんですよ。
クラウドファウンディングが良いのは、事前にユーザーや消費者の声が聞けて、最適な量がつくれることです。
さらに、モノづくりの背景などを伝えることで、製品化の前からファンになってもらえることで、情報を広めてもらえます。その点で、ファッションとクラウドファウンディングは親和性が高いと思います。
冒頭にご紹介いただいた、私が9月に立ち上げる代官山のお店でもクラウドファウンディングをやっています。モノのストーリーを伝えるなどのコミュニケーションをすることで、おかげさまで達成率が200%を超えて、さらに勢いをつけようとしています。
サッシャ すごいなあ。
岩田 今回の大丸松坂屋さんは創業300周年ですし、私たちは130周年なんですけれども、そういう古い会社が新しいチャレンジをしていることも、メッセージとして伝えられたらなと思います。
サッシャ なるほど。今回のサプールと合わせて、チェックしてみようと思います。岩田さん、ありがとうございました。
岩田 ありがとうございました。
※本記事は、放送の内容を再構成しています。
今回のニュースをはじめとした岩田さんのコメントは、ぜひ以下からチェックしてみてください。
24日は産経デジタル社長兼CEOの鳥居洋介さんが出演予定です。こちらもお楽しみください。

【番組概要】放送局: J-WAVE 81.3FM
番組タイトル: PICK ONE
ナビゲーター: サッシャ、寺岡歩美(sugar me)
放送日時: 毎週月~木曜日11:00~11:20(ワイドプログラム『STEP ONE』内)
番組WEBサイトはこちらをご覧ください