(Bloomberg) -- 2014年から2年にわたりソフトバンクグループ副社長を務めたニケシュ・アローラ氏がブルームバーグ・ニュースの取材に応じ、同職を突然退任した背景や、ソフトバンクが注力するライドシェア事業の将来性などについて語った。主な一問一答は以下の通り。

-あなたは孫正義氏の後継者だったが、社長にならずに退任した。何があったのか
「マサと一緒にいた2年間は素晴らしい時間だった。マサが57歳の時に『数年間一緒に仕事をして、その後、君は偉大な後継者になると思う』と言われ私は『素晴らしい』と答えた。彼が60歳に近づいたとき、彼は自分のやりたかったことをやりきっていないことに気付き、最低でもあと10年は続けたいと考え始めた」

-株主の中にはあなたの利益相反や報酬について指摘したり異議を唱える人もいた
「取締役会は独立した特別調査委員会を設けて調査したが、何も問題はなかった。マサはこの一連の経緯の中で私を助けてくれ、社内で説明に動いてくれた。シリコンバレーから人を引っ張ってくる場合、そこで稼いでいた額を払わないといけないでしょうと」

-ソフトバンクにいた経験から孫氏の動き全体をどう見ている
「ただソフトバンクをさらに大きくし、大胆な方針を取っていきたい。それだけだ」

「通常、歳を重ねたり事業が順調に拡大していくことで、経営者のリスクを取ることに対する貪欲さは変化する。どんなに頑張ってもそこだけは変化してしまうものだ。マーク(フェイスブックのザッカーバーグ氏)であれイーロン(テスラのマスク氏)であれ、多くの創業者たちはリスクを取ることへの姿勢を高く保ち続けようと格闘する。しかし、マサだけは違う。リスクを取ることに対する意欲が全く変わらないのだ」

「マサは驚嘆に値する楽観主義者で3カ月先、6カ月先、9カ月先のことなんか見ていない。50年先、300年先のビジョンを見ている」

-孫氏が投資に注力するのは資金があるからか。それともリスクを取っているのか
「アリババ・グループ・ホールディングの株価は私がいるうちに倍近くになった。彼は900億ドル超規模のファンドを設立し資金はある。さまざまな分野の会社に投資しているが、そのそれぞれになぜ成功すると信じているかのビジョンを持っている。だから私は、彼はうまくやると信じている」

-あなたはソフトバンクの投資をバックアップしてきた
「確かにマサとともに複数の案件に投資したが、それはインドに限らない。クーパンやグラブタクシー、テンセントに売却したスーパーセル、スナップディールなどに出資した」

-ソフトバンクは中国の滴滴出行やインドのオラに投資する一方、米ウーバーやリフトへの出資も検討するなどライドシェア事業への投資を加速している
「ライドシェアが『あると便利』から『なくてはならない』サービスになったとき、このビジネスは成功のシナリオだと気づくだろう。都会に住むミレニアル世代が『これが一番便利だから車を所有する必要はない』となっていくだろう」

-ウーバーのトラビス・カラニックCEOの辞任の判断は正しかったか
「いまのところは、そうだ。リーダーは良いこと悪いこと全てに責任を取らなければいけない。見聞きした範囲では、ウーバーは(セクハラなど)文化的な問題を抱えており、誰かが責任を取らなければいけなかった。だから正しい判断だったと思う」

-カラニック氏の後任としてあなたの名前が浮上しているが受ける気はあるか
「全くこの件に関して話をしていないので、質問には答えられない」

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