BCG日本代表が描いた、リクルートの“新規事業開発メソッド”

2017/8/1
数々の新規事業を生み出してきたリクルート。なぜリクルートは、個人のアイデアを拾い上げてブラッシュアップし、柱となる事業に育てることができるのか。『リクルートのすごい構“創”力』の著者、ボストン コンサルティング グループ日本代表の杉田浩章氏に「リクルートの手法」を聞いた。

天才に依存しないリクルート

──杉田さんの著書『リクルートのすごい構“創”力』には、リクルートが数々の新規事業立ち上げの経験を体系化し、エッセンスを組織の中にストックしてきた様子が語られています。
杉田 リクルートという企業が凄いのは、自社にとってのベストプラクティス(最適解)をどう他のビジネスにも広げていくかという考え方を強く持ち、それを体系立てて実行してきた点にあります。
ただ、自社のやり方、つくりあげてきた理論やモデルが、どれくらいユニークで、他の企業と比較してどれくらい優位性があるものか、世の中から見た時にどういう意味合いを持つのか、客観的な視点で評価することはあまりなかったのではないでしょうか。
リクルートのビジネスの本質は、「カスタマー(消費者)とクライアント(企業・事業)のマッチング」だと言われます。一般的に考えると、たとえばメーカーや流通は、マッチングというモデルとは程遠い位置にある事業モデルに見えます。
(出典:『リクルートのすごい構“創”力』)
でも、「世の中にどのような価値を提供しているか」という観点から考えれば、リクルート式のマッチングモデルはメーカーや流通を含め、さまざまな業態に応用可能です。こうしたギャップを埋めるのが、本書における私の役割だったと思います。