(Bloomberg) -- 昨年の米大統領選挙におけるドナルド・トランプ氏陣営とロシアとのつながりを捜査しているモラー特別検察官は、捜査の対象を拡大し、トランプ氏や関係者のビジネスに関わるさまざまな取引について調べていると、捜査に詳しい関係者が明らかにした。

関係者によれば連邦捜査局(FBI)などの捜査官は、トランプ氏の高層マンションをロシア人に売却した取引や、ロシア関係者と共同開発したホテル「トランプ・ソーホー」へのトランプ氏の関与、モスクワで2013年に開催された「ミス・ユニバース」、トランプ氏が2008年にフロリダ州の豪邸をロシアの富豪に売却した件について調べている。

この捜査では、大統領選でのトランプ氏の選挙対策本部長を務めたポール・マナフォート氏に対してニューヨーク州検察当局が開始したマネーロンダリング(資金洗浄)関連の捜査も引き継いでいる。

トランプ大統領の弁護士の1人であるジョン・ダウド氏は20日、トランプ氏のビジネスも捜査対象になっているとの認識はなかったとした上で、それはモラー特別検察官が行うべき捜査の範囲を超えているとの考えを示した。

トランプ大統領は19日、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)に対し、ロシアと関係のないことを調べるのであればそれは一線を越える行為だと述べていた。トランプ氏のビジネスでは長年ロシア人との関わりがあり、境界が曖昧になっている。

米司法省が5月17日に出した指令書では、「ロシア政府とトランプ候補陣営に関わる個人とのつながりないし協力、またはその両方」のほか、「捜査から直接生じた、もしくは生じる可能性のある事柄」について調査するようモラー特別検察官に指示しており、責務の範囲は比較的広いことが示唆される。

捜査官らはこのほか、ウィルバー・ロス氏が商務長官に就任する前に副会長を務めていたキプロス銀行との取引に関心を持っている。またトランプ氏の娘婿であるクシュナー大統領上級顧問の家族会社が運営する不動産プロジェクトについて、同氏が資金確保に動いたことにも関心を持っているという。この情報を提供した関係者は、公に話すことが認められていないとして匿名を条件に語った。

この関係者によれば、昨年、当時マンハッタン連邦地検の検事正だったプリート・バララ氏が開始した資金洗浄を巡る広範な捜査も、資金の動きを追うモラー氏の捜査の根底にあるという。

原題:Mueller Said to Expand Probe to Trump Business Transactions (2)(抜粋)

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: ニューヨーク 森 茂生 smori1@bloomberg.net.

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