【新】東大生が密かに学ぶ「スタートアップ教育」の中身
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大学におけるノー・エクイティでの起業支援プログラムというのはおそらくスタンフォードのStartXをモデルにしているのでしょう。StartXの場合、参加時こそエクイティのやりとりはないものの、プログラム卒業生がVCから資金調達する際にはStartXが運用するファンドがそのラウンドに一部出資する仕組みになっています。このファンドのお金の出所はスタンフォードの基金なのですが、どうやら話を聞いてみると、出資の度にキャピタルコールをかけているらしく、それほどフレキシブルなお金を大学側が準備できていることの影響が大きいのだろうと感じました。2009年に始まって、過去の参加者の調達合計額は1000億円を超えています。ほぼ日本の年間ベンチャー投資額。
StartXでは主にスタンフォード関係者の起業家を中心に担当するメンターを集めています。私もメンターを務めていましたが、どれだけ充実したアドバイザーを集められるか、どれだけ応募者を集められるかも鍵になるのでしょう。StartXの応募者の50%がPhDポスドク、10%は教職員です。
「『一見悪いように見えるアイデア』がスタートアップにとっては良いアイデアであると、シリコンバレーでは言われています」というのはポール・グラハムも述べていることで、スタートアップに携わる者の中では半ば常識化した話ではあるのですが、それは日本と比べると圧倒的に起業家の多いアメリカでは常識的なアイデアでは競合が多すぎて勝ちにくいという話。そもそも起業家の絶対数が少ない日本では、日本のみを市場と捉える限り、奇を衒うより、実はわりとストレートな事業アイデアでも相手がいないので十分に勝ちきれるのではないかと最近は思っています。大企業も他のスタートアップもなかなか攻めてこない。
いずれにせよ、東大の新たな起業支援の取り組み、楽しみです。
私が学生の頃には「東大アントレプレナー道場」という企画がありました。一期生として参加しましたが、第1回ゲストがリバネスの丸さん、第2回が現ヤフーの宮澤弦さんという、今思うと豪華な布陣でした。東大のスタートアップ教育について整理できました。一方で、フィンランドの起業家教育について考えている自分がいます。
日本とフィンランドではその市場規模が異なりますが、人口550万人のフィンランドでははやくから起業家教育が盛んでした。
5月にフィンランドを訪れた際、NPO法人Me & MyCityが実施している起業家教育の現場に伺う機会がありました。同NPOは政府からも出資され、フィンランド全土で活動を展開しています。
小学6年生と中学3年生が対象で、体育館や博物館などでその地域にある企業のブースをチームに分けて出展します。その中には市長や議会のブースもあります。事前に出展してみたい会社の名前を挙げ、社長になりたい人を選抜し、市長も選抜する。ブースでは、いかに儲けるか、広報するかといったことが話し合われていました。
一見、キッザニアのようですが違いはその地域の会社のブースが出展されているという地域性と、一回限りではなく一連のプログラムの一つとしてこのブース出展があるという点です。
ブース出展の前には、学校で経済とは何かを身近な例を用いて学びます。例えば、レシートには何が書かれているのか等です。社会がどのようなエコシステムでまわっているかについても学びます。
日本ではお金や稼ぐことについて学校で話をすることは、政治と同様にタブー視されています。最近では、フィンテックを授業に取り入れるところも出てきましたが、まだまだ少数です。
大学での起業家教育も良いと思います。現に、フィンランドでもAalto大学は起業家養成大学として世界的に有名になりつつあります。
ただ、私自身としては大学よりももっと前に、起業家になるかどうかは別として社会のエコシステムや経済を学ぶ機会は大変重要だなと思っている次第です。お金を稼ぐっていうことに抵抗感があるっていうこと自体が結構問題かなと思う。日本の学校教育の場合、僕自身も社会人になるまでその感覚が全く抜けなかった。早い時期から社会都下の授業の中で起業家教育があればとは思う。