[フランクフルト 23日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)の資産買い入れを巡り、対象となる独連邦債の不足が差し迫った問題となっており、大幅な延長は困難な状況であることが、関係筋の話で分かった。延長かテーパリング(段階的縮小)かを判断するに当たり、最も大きな検討課題になるという。

ECBが買い入れることのできる独連邦債は、遅くとも来年半ばには枯渇すると見込まれている。そのため、買い入れをある程度の期間延長するには、プログラムの設計を大きく見直す必要がある。

ただ、関係筋は、「緩やかながらも成長とインフレが正しい方向に向かい始めている中で、大幅な見直しには多大な反発が予想される」と述べる。

ECBが各国の債券の3分の1以上の買い入れを禁じる規定を設けていることに加え、ドイツは元々、債務水準が比較的低いことが、不足に拍車をかけている。銀行のアナリストらの推定によると、年末から来年半ばのいずれかの時期に、ECBが買い入れることのできる独連邦債がなくなる見込みだ。

独連邦債の代わりに、超国家機関や地方の債券を買い入れることも可能だが、これらの市場は買い入れに必要な十分な流動性を欠くという。

延長の是非を判断する上で、物価上昇の鈍さが資産買い入れの設計見直しを正当化するかが争点になる。

一部では、インフレ率がECBの目標を長年下回り、近い将来に達成する公算も小さい状況でテーパリングに着手すれば、物価目標の達成を断念したと受け止められるとの意見も出ている。

だが一方で、ある理事会メンバーは「デフレの脅威や債務危機後の加盟国への負の連鎖を断ち切った今、資産買い入れを導入した大義名分はもはや存在しない」と語る。

ECBは買い入れ延長の是非を巡る決定について期限を設けていないが、市場に数カ月の準備期間を与えることを考慮すると、9月7日、または10月26日の理事会で決定する可能性が高い。

ECBはコメントを拒否した。