将棋:藤井四段27連勝 歴代1位タイに王手
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スポーツの世界が典型ですが,たまに,何かの分野で頭一つ抜け出た人,スーパーヒーローが出てきます.野球で言えば,王,長嶋,ベーブルース.将棋では羽生善治.こういう人がたまに出てくるということは,その分野は「最適解」にまだ到達していないことを意味している.
確かなことは,どの領域でも平均的なレベルは年々上がってきている.例えば,ベーブルースが現在に蘇っても,今のメジャーリーグでは活躍できないはずである.いまのメジャーリーガーはベーブルースよりもはるかに優れた能力をもっているからである.
そうして年々,選手の平均レベルが上がり,人間能力の限界に近づくと,選手の能力は均一化してスーパーヒーローが出現しなくなる.頭一つ抜けたスーパーヒーローが生まれる分野は,まだ発展途上の分野と言うことになる.
将棋界は羽生善治以来,そういう棋士が現れなかった.もう将棋は最適解に到達して,数十年前と比べれば遥かに強いが,現在で比べれば普通に見える棋士が勝率5割前後で戦うつまらない均一な世界になってしまったかと思えた.
しかし,そこに人工知能が現れて,人間の到達した(到達しようとしていた)最適解が局所的最適解でしかないことを示し,今また,新しいヒーローの出現で人間棋士はもっと良い最適解に到達できることを示した.
これであと10年たつと,今度は新しい棋士が藤井4段の将棋を学び,また棋士のレベルが上がって均一化する時代に突入する.そここそが人間の到達できる最適解で,将棋の進歩は終わるか,あるいはそこもただの局所的最適解に過ぎないのか?
【追記】 AI,将棋の研究者は,藤井4段の能力を解析する方法を真面目に研究するべきだと思います.いまこの強い瞬間しか,その機会はありません.お相手は東大1年生で学生名人。連勝中の聡太くんにアマチュアが一発入れればビッグニュースでしたが、聡太くんが危なげなく勝ち切りましたね。学生名人には一局を通してチャンスがなかったように思います。
昔、故・米長永世棋聖が「兄達は頭が悪いから東大へ行った。自分は頭が良いから将棋指しになった」と言ったという冗談がありましたね。本当は言ってないんですが、あながち間違っていないと思い、積極的に訂正はしなかったそうです。
実際、東大理3に入るより、プロ棋士になる方が難しいし、まして聡太くんになることはノーベル賞を取るより難しいと思います。
27勝目のざっくり解説:序盤からじりじりと陣形の差をつけ、桂得してから、飛車をばっさり切って、いっきに敵玉を裸にし追い詰めました。最後は、19手詰めを読み切った上で、肉を切らせて骨を断ちました。見た目は一手差ですが、危なげない差し回しでした。とにかく凄いとしか言いようがないですね。羽生三冠ですら現時点で到達できていない神谷八段の連勝記録にあと一歩で並ぶところまで来ているわけですから。
20連勝くらいの時点では一先ず黒星がついた後の将棋に注目と思っていましたが、ここまで来るととにかくどこまで連勝記録を伸ばせるか見てみたいとどうしても思ってしまいます。外野で観戦しているだけだとつくづく勝手なものですが。