[東京 14日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>の完全子会社で、新興国向け小型車開発を担うダイハツ工業の奥平総一郎社長はロイターなどとのインタビューで、2025年に自社開発した車の世界生産台数を現状から約100万台増となる250万台の目標達成に向け、南米市場への投入を検討していると明らかにした。

トヨタ出身の奥平氏は8日、ダイハツ社長に就任した。250万台の目標には日本の軽自動車と小型車、ダイハツ車が強いインドネシアやマレーシアでの拡販も織り込んでいるが、台数上積みの鍵になる市場は「タイを中心としたアジア地域、今までダイハツが販売していない地域、プラス南米」と説明した。

また、「ブラジルには小型車の市場があり、トヨタも同じ車をアジア、南米で販売している」と指摘。ダイハツが開発した車も南米で「売れる可能性がある」とみて、「同じ車で通用する地域は同時に考えていきたい」と語った。投入時期やトヨタとダイハツのどちらのブランドで展開するかなど詳細には言及しなかったが、多くの拠点を持つ「トヨタの生産設備を一緒に活用させていただくことになると思う」と述べた。

インド市場については、ダイハツが追求する「良品廉価でお客様に寄り添った車づくりがインドでも通用するのであれば展開させていただきたい」と語り、展開ブランド、生産場所などは「トヨタと一緒に考えていきたい」とした。現在は、同国でシェア首位のスズキ<7269.T>に部品を提供している仕入れ先を調査するなど「どういう部品がどういうふうに調達できるかを調査している段階」という。

トヨタとダイハツは今年1月、両社を横断する新組織「新興国小型車カンパニー」を発足。新興国向け小型車の商品企画を両社で策定し、開発・部材調達・生産準備はダイハツに一本化、生産は両社の既存工場を有効活用する。事業展開は中国を除くアジア地域が対象で、ベトナムやパキスタン、インドなどを含む。

自社開発の衝突回避システム「スマートアシスト」に関しては、「海外でも安心、安全は広げていきたい」とし、現地でニーズがあり、顧客に受け入れられる価格で提供できれば海外でも展開したい考えだ。

奥平社長は、部品共通化などによる良品廉価な車づくりの新たな設計手法「ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(DNGA)」の確立がダイハツの最優先課題であり、まずは20年までに投入予定のDNGA第一弾となる軽自動車に「全力を挙げたい」と語った。

(白木真紀)