【GLM社長】日本の技術を集結。古い自動車産業をぶっ壊す

2017/5/26
国内ベンチャーとして初めて電気自動車(EV)の量産に成功した、京都発の新興EVメーカーGLM。「トップに聞く企業研究・GLM」最終回の本日は、小間裕康社長のインタビュー後編をお送りする。
【前編】京都発の“和製テスラ”、EVで世界を狙う
【GLM社長】京都発の“和製テスラ”、EVで世界を狙う

EVが巻き起こす「ガラガラポン」

──電気自動車(EV)には、業界全体で技術革新に取り組まなければならないテーマが残っていますね。
小間 そうですね。バッテリーのイノベーションをはじめ、まだ達成されていないものがいっぱいある。
ガソリン自動車の時代っていうのは、いろんな要素ごとに、継ぎはぎ、継ぎはぎで技術革新が進んできたので、クルマの構造が非常に複雑になっています。
例えば、さまざまな箇所に、いろんな種類のコントローラーがある。
これって、人間でいう脳に当たるCPU(中央処理装置)がどんどん良くなってきてるんで、1個でいいはずなんです、極論は。マルチタスクがちゃんとこなせるようになれば。
だから、今はまだ1台に1個っていうのは無理なんですけれども、これをシンプル化しようという流れはあるんですよ。
ただ、各部品メーカーは、いまさらガソリン車の構造をシンプル化するよりも、EVにシフトしたときに一本化しよう、インターフェースも統一しよう、と考えている。
なので、EVというのが、一気にクルマをシンプル化するのに、ちょうどいい開発投資領域になってきてるんです。
ただ、EVの進化に必要な莫大な開発コストは、各社が個別に開発を進めるのでは、まかないきれない。
そういった古い自動車産業構造の、縦割りの垂直統合モデルだと、トヨタ自動車や独フォルクスワーゲンのように、年間販売1000万台ぐらいの規模を持つ会社でないと、1社では厳しいんですよ。
となると、われわれの戦い方としては、EVに不可欠な要素を、ある程度、シェアできるようなプラットフォームを、部品サプライヤーのエコシステムを使って水平分業で作れたら、これはかなり勝算があるんじゃないか。
そういうことを今、考えてるのが、GLMのビジネスモデルなんですね。
小間裕康(こま・ひろやす)/GLM社長
1977年生まれ。甲南大学在学中に、音楽家を派遣する人材派遣ビジネスで起業。2009年、京都大学大学院MBAコースでEV開発プロジェクトに出逢い、それを機に2010年、EVメーカー「グリーンロードモータース」(現GLM)を設立。2014年に伝説のスポーツカー「トミーカイラ」をEVで復活させ、量産仕様で国内認証を取得。2015年に専用工場で量産を開始した

日本の技術の「プラットフォーム」