【堀江貴文】21世紀の“学びの大前提”を伝える授業とは

2017/4/18
2017年5月から、スタディサプリラボで開講する“未来の教育講座”で、アクティブラーニング型の「学校で学べない授業」をプロデュースする堀江貴文氏。既存の「学校」や「教育制度」では身につけられない、21世紀を生きる若者たちに必須の“学び”とは何かを聞いた。
自ら知識にアクセスする自由
──堀江さんが積極的に“教育”に関わるというのは意外な印象もあります。「スタディサプリ」に関わることになった経緯を教えてください。
堀江:スタディサプリとの関わりは、2016年にリクルートマーケティングパートナーズの新規事業コンテスト「NewRING」の審査員に呼ばれたことから始まりました。ファウンダーの山口文洋氏に出会い、コラボレーションの話へと発展したんです。
スタディサプリは、会員数42万人が使うサービスでありながら、高校を卒業したらみんなやめてしまうという特徴を抱えている。貴重なネットワークを活用しきれずもったいないと考え、スタディサプリから、僕が主宰するオンラインサロン「堀江貴文イノベーション大学校」の会員へとコンバージョンできるのでは?と提案したんですよ。
堀江貴文イノベーション大学校は、「大学の学費は高くてコストパフォーマンスが悪いのではないか」という問題意識から始まった、月会費10800円のオンライン学校。「学校」といっても、メンバーが自らコミュニケーションを取り合い、自主的にやりたいことを企画・実践するアウトプットの場です。
これはスタディサプリの、「月額980円で、自ら求めるオンライン授業にアクセスして受講する」という考え方に共通するものがある。同じ課題意識を感じたことから、スタディサプリの授業のプロデューサーとして関わる話へとつながりました。
一方通行の教育はもういらない
──新刊『すべての教育は「洗脳」である 21世紀の脱・学校論』(光文社新書)では、これからの“学び”について語られています。
僕はもともと「教育」や「学校」に何の興味も持っていない人間です。それは、既存の「学校」が、「先生が生徒に教える」という一方通行の情報提供をベースに成り立っているから。
知識を持っている者が、知識のない者に教えるという既存の教育のあり方は、情報に自由にアクセスできなかったインターネット以前の世界では、最適化された方法だったといえるでしょう。
しかし、いまやネットで検索できない知識はほとんどない時代。情報は誰もがアクセスできるネット上にあふれています。先生が生徒に教える、という手法をとらなくても、アクセスできる方法さえ身につければ、誰もが平等に情報をキャッチすることができるのです。
その点、そうした思想で設計されているスタディサプリは、数年単位ではなかなか動かない「教育」や「学校」の現場に生まれた、大きな変革のひとつだと思っています。
──実際、堀江さんがプロデュースする「学校では学べない学び」の授業はどんな内容になるのでしょうか。
第1回では、teamLabの猪子寿之さんをゲストに招いて、オープンイノベーションをテーマにした授業を行う予定です。
これからの“学び”の大前提になるのは、インターネット誕生後の世界のベースとなっている進化の方法論であるオープンイノベーションです。
要するに、さまざまな領域の専門家たちが、技術やアイデア、データなどあらゆる知識をオープンに持ち寄り、それらを組み合わせることで、革新的なビジネスモデルや製品・サービス開発につなげていくイノベーションのあり方です。
僕がスタディサプリの授業を通じて伝えたいのは、たったひとつ、この“オープンイノベーションを基盤とした世界の歩き方”です。
いまや、ネット上に持ち込まれる最新の情報にアクセスするスキルさえあれば、自分が知りたいことを際限なく探究することができます。YouTubeの動画から知りたい技術や知識をどんどん吸収している若者が世界中にいる。専門家が集まるコミュニティに参加することもできる。
もう「学校に集合し、先生から教わる」という既存の学びのあり方にこだわる必要はないんです。子どもたちは、自分の興味関心のまま、世界中から情報を集め、どんどん自習していくのが当たり前だし、そうするべき。
僕が授業を通じて教えるのは、その土台の部分だけ。あとは、実際に生徒たちが自分たちでやりたいことを考え、コミュニケーションしながら実践していくような形にする予定です。
情報・機会の格差はもはや存在しない
──堀江さんの授業は「スタディサプリラボ」で開催され、その内容は動画・ライブでの配信も検討されています。多くの高校生たちが、高度な学びと実践に挑戦することになります。
むしろ若い世代だからいいんですよ。オープンイノベーションが作り出したのは、「チャレンジしよう」という行動力さえあれば、誰もが平等に実践する機会を持てるようになった世界です。つまり、物理的な制約条件はほぼなくなりつつある。
何も持っていない10代の若者が、アイデアをオープンにしたことで、世界的に大成功したビジネスの事例があります。2014年3月に米Facebook社が20億ドルで買収したOculus VRです。同社創設者のパルマー・ラッキー氏は、18歳のときに、巨大なゴーグルのようなVRデバイスのアイデアを思いつきました。
スノーボード好きの彼が、「ゴーグルの内側にスマホを2台つけて映像を流したら、バーチャルリアリティを体験できるんじゃないか」と考えたのが最初のきっかけ。彼はそのプロトタイプを作り、Kickstarterにアップしたことで、240万ドル超の資金調達に成功しました。
さらにオープンソースのコミュニティをきっかけに「FPSの父」と称される伝説的なゲームクリエーター、ジョン・D・カーマック氏が仲間に加わり、世界に先駆けたVR企業が動き出すことになります。
VRムーブメントのきっかけを作った「Oculus VR」(AP/アフロ)
この成功は何によって成し遂げられたのか。ラッキー氏のアイデアが斬新だったから、では決してない。「スノボのゴーグルに、スマホをつけて映像デバイスを作る」というアイデアは、きっと、同時期に世界中で1万人くらいの人間が思いついていたでしょう。
彼が素晴らしかったことは、ただひとつ。そのアイデアを製品化できないかと、オープンソースの協力を得てプロトタイプを作り、Kickstarterにあげたこと。つまり、オープンイノベーションのプラットフォームに参加するという行動を起こした。それだけです。
もはや、お金も地位も、人脈さえなくてもいい。オープンイノベーションは、あらゆるリソースを無償で使える世界であり、「このツールと素材を使ったら、こんな新しいプロダクトができるかもしれない」というアイデアを、非常にローコストで現実化できるプラットフォームだからです。
“行動できる若者”を育てる意義
──堀江さんがスタディサプリに参画し、そういった授業をすることのモチベーションを教えてください。
オープンイノベーションの原則を理解し、情報へのアクセス方法を手に入れた人たちは、他人が作った最新のツールやデータを利用し、次々と新しいアイデアに進化させて世界に発信していく。発信すれば、フィードバックが集まり、そのアイデアはさらにブラッシュアップされていきます。
そうやって高速にPDCAを回して進化していく者と、すでに世の中に存在している最新のツールに気づかずに同じものを作り出そうとしている者とでは、どちらが速く進歩するかは考えるまでもありません。
今の教育は、インターネット後の“世界の進化基盤”を知らずに、後者を世に送り出している。僕が言いたいのは、「車輪を再発明しつづけるのはそろそろやめにしませんか」ということです。
オープンイノベーションに参加する上で唯一のストッパーは、「自分にはできない」と思う気持ちだけ。その原因になっているのは、教育における「これを学ぶべきだ」「これをしてはいけない」という、出る杭を打つルールや規制。そして、個性を均一化することで植えつけられた、「自分にはできない」という自己抑制力だと思っています。それを打ち破らなくてはいけない。
自ら学び、アイデアを行動に移すことができる人材を一人でも多く増やせるのであれば、僕はスタディサプリという学びの機会に積極的に絡んでいきたいと思っています。その方が、社会は確実によくなっていくはずだからです。
(編集:呉 琢磨、構成:田中瑠子、写真:福田俊介)
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