【実録】日立の鉄道を「世界水準」に引き上げた異色の男

2017/4/7

集まった3万人の群衆

2017年3月5日、山口県下松市の路上には、全国から集まった3万人の群衆がスマホを手にその瞬間を待ち構えていた。
Class800。
日立が誇るこの特急車両が、公道を経由して、英国へと送り届けられる瞬間をこの目でみるため、日本中の鉄道ファンが押しかけたのだ。
「3万人といえば、下松市の人口の半分以上です。この熱狂こそが、鉄道ビジネスの特別なところです」
こう興奮気味に話すのは、日立のアリステア・ドーマー専務だ。日立は2014年に、鉄道事業の本社を英国へと移転しており、ドーマーはそのCEOを務める。