【独占1万字】川村隆「日本は大企業に頼るから弱くなった」

2017/4/3

改革者の「ラストメッセージ」

全てはこの男から始まった。
2009年、約7800億円の赤字を計上した日立の社長兼会長を任されると、赤字の止血から、社会インフラ事業への資源集中に取り組み、わずか4年で、23年ぶりの営業最高益の更新にまでこぎつけた。
テレビ、液晶、半導体事業などの整理から、ITとインフラ事業の融合、山ほどあった子会社の再編に、取締役を含めたガバナンスの徹底改革、また日立の真のグローバル化への道筋と、手を付けた改革の数は枚挙にいとまがない。
今に続く、日立の「改革」の礎を作り上げたのは、現名誉会長の川村隆氏であることに異論を挟む人はいないだろう。
そして、2017年、川村氏は、東京電力ホールディングスの会長へと転身する。
NewsPicksが独占インタビューを敢行したのは、まさに東電会長への打診が報道されたその日で、その直前だった。
すでに新たな役割への覚悟を決めていただろう川村氏の発言は、その一つ一つから、大企業改革への強い思いがにじみ出ている。
齢77歳だけに、おそらく日立を代弁する立場としては「ラストメッセージ」となるだろう川村氏の言葉を、1万字を超えるロングインタビューとして届けたい。

大企業からは何も出てこない

──我々NewsPicksというメディアで、伝統メディアと比べると、少し新しいビジネス動向の取材を続けています。
それだと僕は取材の対象には良くないかもしれない。僕は77歳ですよ。そういうエネルギッシュなのは無理だけれど(笑)。
──でも、大企業の中で、めまぐるしい変革を遂げられたということで。
それは、日本が間違えているんですよ。日本は大企業に頼りすぎるからこんなに弱くなっちゃった。
大企業というのは要するに、基本的にあまり改革をしない会社なんだからね。