庭のスマートライトが不審者を察知、ドローンが出動して家を守る

2017/3/16

ドローンビジネスのエコシステム拡大

ドローンは今、すでに飽和状態に達したとも言われている。
せんだって、ロボット関連のスタートアップを調べていたところ、ドローン関連のスタートアップがあまりに多いのに驚いた。
だが、数が増える一方で、ドローンをどんなビジネスやサービスに利用するかという多様性は確実に広がっているように思われる。
当初のホビイストのためのドローンから農業用、橋や風力発電装置などのインフラのモニター、不動産の調査など商用、そしてデータ分析やプラットフォーム開発など、ドローンビジネスのエコシステムが拡大しているのだ。
そして、個人用でもドローンの予想外の使い道があった。セキュリティーである。それを面白い方法で構想しているのが、サンフラワー・ラボ(Sunflower Labs)だ。
サンフラワー・ラボのドローンは、庭の外灯と一緒に機能するようになっている。外灯は、テクノロジー満載のスマートライトである。
庭の地面に差し込んで使うタイプのもので、全方向で動きを察知するモーションセンサー、足音などの地面の揺れを検知する振動センサー、マイク、スピーカー、そして太陽を電力として利用するためのパネルがついている。

家の上を飛行しながら、映像を送信

これを庭の数カ所に設置しておく。まるで草花を植えるように地面に差し込んでおくわけだが、これが会社名の「サンフラワー(ヒマワリ)」につながったのだろう。
ちなみにこのライトは、インターネットにつながった環境ライトでもあり、色を変化させることもできる。庭でバーベキューやパーティーをする際には便利だろう。
話がそれたが、外灯ライトのテクノロジーが不審者の侵入を察知すると、ふたつのことを行う。ひとつは、ユーザーのスマートフォンに異常を知らせること。もうひとつは、ドローンに起動を司令することだ。
敷地のどこかに控えていたドローンは、指令を受けるとすぐさま飛び立って、家の上を飛行する。飛行しながらビデオをユーザーのスマートフォンに送信し続ける。
家の住人であるユーザーは、異常のアラートが野良猫によるものだったのか、隣人が訪ねて来たのか、それとも本当に見も知らない怪しい人物が木陰に潜んでいるのかを、これで判断することが可能になるわけだ。
まるで、テレビの探偵ドラマのような筋書きである。
サンフラワー・ラボがドローンを個人住宅のセキュリティーに利用しようと考えたのは、現在の家庭用セキュリティーが十分な役目を果たしていないと考えたからだという。

泥棒への対応は筋書き通りに行くか

現在のセキュリティー装置は、扉や窓に取り付けられることが多いのだが、そうすると怪しい人物はすでに家に手をかけていることになる。
現実問題としても時間の問題としても、これではタイミングを逃していることになる。
いくらアラートが鳴っても、家人は不意をつかれてオロオロするかもしれない。警備会社にアラートが送られるタイプのシステムだとすれば、係員が到着する頃には泥棒が家を荒らし終わっているかもしれない。
ところが、外灯とドローンの組み合わせならばどうだろうか。自分の存在は気づかれていないと思っている泥棒は、ドローンが登場してびっくりするだろう。
また、住人のユーザーが在宅していたとすれば、泥棒よりは先に状況を把握できるはずだ。警察に連絡をするとしても、相手を怒鳴りつけるとしても、あるいは最悪逃げるとしても対処ができる。
筋書きとしては完璧だが、もちろん実用化されてみなければその通りに機能するかどうかはわからない。日本のように住戸が密集したところでは、使い勝手が異なる可能性もある。
だが、ドローンの新しい利用方法としては、いいアイデアであることは間違いない。
*本連載は毎週木曜日に掲載予定です。
(文:瀧口範子、写真:www.sunflower-labs.com)