【波頭亮】いま22歳なら、マッキンゼーではなくPFNに行きたい

2017/3/7
特集「東大・早慶の就活2018年卒」第2部のテーマは、有名企業社長や官公庁幹部ら各界で活躍する先達が語る 「もし22歳に戻れるなら、あの会社に入りたい」だ。今回登場するのは経営コンサルタントの波頭亮氏。波頭氏の「会社選び」のポイントとは?

就活の本を書いた理由

私は2007年に出版した『就活の法則 適職探しと会社選びの10ヵ条』で、「人気ランキング上位の企業を狙うのはダメな選択」「本当の就活は会社に入ってからのスタート」「受けるのは5社で十分」などの指摘をしました。
本来、人間は一人ひとりに別の適性があり、そこから見いだされる適職は多様で、しかも個人にとっての成功の形や幸せな人生の送り方は千差万別だからです。
しかし、ほとんどの日本人は「給料の高い仕事が良い仕事だ」「社会的地位は高いほうがいい」といったステレオタイプな職業観に、捕らわれていました。
それは、高度経済成長型で、一律大量採用、生涯出世競争の考え方が残ってしまっていたからでしょう。
しかし、現実には10年以上前から仕事の多様性がどんどん進み、一律の成功パターンを求める就職活動と現実の仕事とのミスマッチが生じていたのです。

序列型で企業を見ていた愚かさ

その後、2008年にはリーマンショックが起こり、日本でも近年ではシャープが債務超過に陥って鴻海に買収され、東芝も不正会計でボロボロになり、電通や三菱自動車でも深刻な問題が頻発しています。
その結果、学生も就職先として企業を偏差値序列型で判断することの無効さに気付いたかもしれません。
それこそ10年前までは、上位5パーセントくらいの優秀な学生にとっては、戦略コンサルティングファームのマッキンゼーや外資系投資銀行のゴールドマンサックスが、偏差値序列型の一つの頂点でした。
日系企業では、財務省の官僚や三菱商事、都市銀行がそれに該当したのでしょう。
いずれにせよ、多くの学生は自身の適性よりも、権威と偏差値の中で企業を評価・判断していたように感じています。
私がマッキンゼーに入社したのは、そうした既成の権威の外側で仕事をしたいという意識があったからです。
マッキンゼーには、日本で最初の新卒入社として入りました。当時は全く無名で、全然エリート会社ではありませんでした。だから私のようなアンチ権威の人間も入れたのだと思っていますし、そこに意味もありました。