人工知能が企業ごとの採用傾向を学習、新卒採用のエントリーシート選考業務を効率化
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AIを理解している人がこのシステムを作っているのか、
そしてシステムの弱みを理解して活用されるのかが心配です。
一般的に、AIは言語の価値判断が非常に苦手です。
それは、名詞や動詞が組み合わされて初めて価値を持ち、一般的にその組み合わせ数は膨大になります。
エントリーシートに記入されている言語の組み合わせは、かなり膨大になります。
それに対し、一企業の中に蓄積されている内定者のエントリーシートデータは、教師データとしては不十分です。
すなわち、かなり予測誤差が発生し、評価の精度は低くなるということを意味します。
もし、それを理解して活用していたら問題ないのですが、この文中にあるように
「ボーダーライン上の書類選考」に使われたら、それは危険です。
そんな精度が低いシステムで、学生の将来が判断されるのは許されないでしょう。
AI技術自体は、HRの世界でもこれから推進されるべきものですが(私も推進しています)、その技術は何にでも適用すべきではありません。
それを使う際には、最低限の理解が必要とされます。【AI×書類選考】
■これが機能するには少なくとも以下4点をクリアする必要がありますね。
①教師データが正しい
採用すべき人を採用していて、入社後も評価が適正になされている。これがないと、そもそも何を正解とするか(誰を合格にすべきか)を間違い、AIが良くないことを学習し、それが増幅されるだけの結果となるでしょう。
②データの品質と量が十分
そもそも品質の高いデータが十分にあるかどうか。採用は現場を含め多くの方がデータを記録・入力する必要があり、その入力マネジメントはすごい手間がかかります。まともなデータがそろっていない状態では始められません。
③AI導入のコストがペイできる
効率化の重点ポイントってそこ?生産性UPにそこまで寄与する?書類選考の工数ってそこまで大変?を改めて考えたほうがいいですね(個人的にはそこまでの工数ではないような)。とはいえ、後述の副次的効果もありますので、それを含めて導入を判断していいかと思います。
④機会損失を防ぐ仕組みを用意する
まず1年目は人とAIそれぞれ併用して、AIの精度がいかほどのものか、もしくは人の精度がいかほどのものか検証することが大事ですね。人ひとりの人生の大事な局面となりますので。
■AI導入の副次的効果
・ちゃんとデータを残すようになる(採用の解像度が上がる、共通言語化が進む、オペレーション品質が向上する)
・HRにおけるデータ活用の機運が高まる(やりやすいところでAIを導入し、実務を通じて一長一短を理解し、他の人事ファンクションでも活用を検討していく)
■最後に
記事中ではボーダー上のエントリーシートをAIに任せる旨の表記がありますが、個人的にはむしろそちらの方々を人事担当者がチェックしたほうがいいと思います。
AIは(導入するとしたら)明らかにOK、NGの方々を大量に振り分けることに活用したほうがいいのでは。HR TECHでは業務改善にフォーカスされることが多いですが、テクノロジーの発達って課題そのものを変えてしまうと思うので議論のテーマが改善のみで留まってしまうのはもったいない気がするんですよね。また、改善とか効率化って企業の利益ばかりで、求職者が幸せになるかどうかという大事な観点が抜けてますよね。そこにフォーカスしたアイディアがもっと出てくるといいですよね。
ちなみにカヤックには「エゴサーチ採用」というエゴサーチの結果でエントリー出来るというエントリー方法があります。エゴサーチの結果は、その人の活動履歴です。企業としてもエントリーシートには乗りきらない価値ある情報を知る事が出来て、候補者の方には簡単にエントリーが出来るという価値も提供できているので、テクノロジーを活用した新たな採用エントリーの在り方を提示できた良い事例だなと思ってます。自画自賛みたいになっちゃいますが(笑)