【前嶋和弘】トランプ大統領が既存の党派対立をかき回す

2016/12/25

キーワードは取引・世論・変化

超大国・アメリカのドナルド・トランプ新政権の行方を世界は固唾を呑んで見守っている。当選後の様々な発言や任命人事を見ても、トランプ氏の動きは極めて読みにくい。2017年はトランプ新大統領の一挙手一投足に世界が振り回されるだろう。
ただ、選挙戦の発言をみていると、トランプ政権の方向性は内政面でも外交面でも、「取引」「世論」「変化」という3つのキーワードに集約されると考えられる。
「取引」とは、ビジネスマン的な実利を基本とすることだ。トランプ政権はコスト削減や数字に見える成果をポイントとして挙げ、外交では多国間交渉より、実利が見えやすい二国間での交渉を重視する。
「世論」とは、常に国民の声を気にする政策をとることだ。国内に「イラク戦争、アフガニスタン戦争がアメリカの国力を奪った」という厭戦気分があるため、外交面ではトランプ政権は内向き路線が予想される。
「変化」とは「オバマ氏のやらなかったこと」を重視することだ。キューバとの国交回復やイランとの核合意に対する方向転換など、オバマ路線の否定から始まることが予想される。シリア内戦ではロシアと連携し、オバマ政権が主張していたアサド氏の退陣ではなく、イスラム国壊滅を優先させていくのかもしれない。