マーケティングロボットカンパニーを標榜し、業界シェアNo.1(※)のマーケティングアドプラットフォーム「アドエビス」の提供から、右肩上がりの成長を遂げているロックオン。

2014年に東証マザーズへの上場、大阪発のベンチャーだ。彼らのこの秘密は、抜擢人事にあると代表の岩田進氏は語る。今回は、入社3年目、当時24歳という若さで課長に抜擢された足立愛樹氏を加え、同社の抜擢人事の裏側に迫った。

オムライスからロボットへの事業転換

-- 御社の事業は飲食からスタートしていますよね?しかもオムライス屋という。
岩田 人の胃袋を満たすという点で非常に幅広い競合がいるレッドオーシャンに参入し、結果として1年で店を畳んでいます。20歳の頃ですね。
この失敗を活かし、かつ自分が本当にやりたいことは何かと内省し、世界で通用する会社をつくりたいという思いからロックオンを立ち上げたのが22歳。
そして世界に出る以前に日本が抱えている大きな問題の解消にも貢献したい。そこで目をつけたのが少子高齢化問題。いかに貢献するかの「How」の部分ですが、生産性向上に大きく寄与するオートメーションロボットでの実現ですね。
岩田進 代表取締役社長
飲食店経営、旅行ビジネスの経営を経て、2001年、大学在学中にロックオンを創業。「インターネット広告」「Eコマース」という時流の分野で、国内No.1サービスの立ち上げに成功。2014年9月には、東京証券取引所マザーズに上場。
現状、弊社はマーケティングの効果計測ツール、アドエビスがメインの会社ですから、「どうロボットと紐づけるのか?」と思うかもしれません。ただ、着実に理想に近づいています。
なぜなら、ロボットを構成する上で三大要素とも言えるセンサー、ビッグデータ、人口知能の中の“センサー”で業界をリードしているからです。センサーそのものの価値はありませんが、そこから取得するデータに価値があります。
人工知能がバズワードになっていますが、そもそもビッグデータがなければ人口知能は機能しないし、センサーがなければデータも蓄積できないのです。
我々は広告の効果測定の会社として12年来やっていますが、実はセンサーを開発している感覚を持ってやってきているんです。センサーで1番となり、アクセルを踏んでいくための資金調達として、2年前にマザーズにも上場しています。

24歳で課長に支社長。抜擢人事が組織を強くする

-- そんなロックオンに足立さんが出会ったのは新卒の頃ですが、当時の岩田さんの印象は?
足立 ずっと世界で躍進することに自信を持っているという印象で、一切ぶれない人です。
たとえば、目覚ましい成長を遂げているスタートアップが出てきて、「ウチもこういう分野やったほうがいいんじゃないか」という話をしても、ロックオンがやることの価値を問うんです。
短期的な視点で儲かるからやろうではなく、長期的な視点、生態系を意識した価値提供をしようと。その上で、仮説立てたコンセプトが本当に求められているかを検証しながら製品開発を行っていきます。「やることで誰をどのように幸せにできるのか?」という、幸福基準で判断されますね。
もちろんチャンスがあるものは機会としては捉えるのですが、見つめている世界はずっとぶれてなくて。一心に世界と人の幸せを見つめ続けていますね。
足立愛樹 コーポレート戦略部 マーケティングプラットフォーム戦略企画課 課長
2012年に新卒で入社し、以降、コンサルティング・セールスに従事。入社3年目・最年少にして、マネージャーへの昇格とセールス部門の年間MVPを獲得。企画部門でも年間MVPを獲得し、現在は、製品戦略・企画担当として、海外市場開拓、新サービス企画、テストマーケティングなど幅広い業務に関わり事業を牽引
-- そんな足立さんを最年少の課長に抜擢したのが、3年目。
岩田 ええ、営業成績も一番でしたし。ただ、別のミッションを与えた方が将来的により大きくなれると考え、彼のためにチームや課、いわば組織をつくり、成長を促しました。
課長に抜擢した当時はまだ24歳ですから、克服しないといけない課題ばかりでしたが、まんべんなく一通りできる人間になる必要はなくて。
僕は、組織というものはオーケストラに近いと捉えています。まず大事なことは音楽性。どういう音楽を奏でたいのか?というところがずれていると、言われたことしかやらない人間になりますし、コミットメントにも限界が生じる。
また、全ての楽器を扱える必要はない。駄目なところはやらなくてもいいし、一つの楽器のプロであればいいのです。
ただ足立の場合、プロダクトを扱いたいという強い思いがあったので、その気持ちを尊重しました。やっぱりやってみないことにはできるようにならないわけですから、先にできるようになってからそのポジションになるか、ポジションについてからできるようになるかどうか、その違いだと思うんですけど。
-- 福岡支社の拠点長も、新卒3年目で抜擢したと伺っています。これだけ大胆な人事をする理由とは?
岩田 人の成長なくして組織の成長もないので、抜擢人事という選択肢が最も有効なのです。僕も20歳から飲食店経営をスタートし、22歳でこの会社を立ち上げ今に至っていますから、ハートさえあれば大丈夫かと。
それに、弊社は新卒だけでなく中途の抜擢にも積極的です。開発事業部長も、人事部長も、現場での活躍の結果、今の役職に思い切って昇格させています。
もちろん、足立も支社長の彼も、中途のメンバーもたくさんの失敗を通ってきましたし、迷惑もたくさんかけてくれました(笑)。ただ、すごいスピードでの成長を体現してくれましたから、その経験をきちんと次の世代に伝えてほしい。
失敗はもちろん、このポジションの喜びも共有してもらえると、より強い組織を生むための文脈が生まれると言えるのではないでしょうか。
-- 今回の募集は足立さん直下のポジションですが、その魅力とは?
足立 チャンスしかないと思っています、このポジションは。ロックオンのエンジニアはとてつもなく優秀です。そんな仲間と一緒に日本が世界に対して強みを持つとされるソフトウェアの分野で、国、業界単位の課題を解決できるプロダクトをつくるというのは、本当にエキサイティングであらゆる可能性を具現化してくれます。
そして、直下のポジションといわず今の戦略部にマッチする人がいればパートナー、極端に言えば私の上司になっていただいても全く問題ないと思っています。
また、3年以内に世界に進出する戦略を着々と詰めており、グローバルを意識している人には最適かもしれません。
今は海外のマーケット調査や情報収集のため、現地に足を運びリサーチを繰り返しています。頻繁に現地におもむき、カルチャーや競合の調査はもちろん、歴史のリサーチも綿密におこない、国民性の分析とプロダクトの改善にも努めています。
とにかくこのポジションは、国内向けの商品企画だけでなく、海外向けに商品をローカライズないし、カルチャライズしてマーケットにフィットさせていくような仕事もできます。泥臭いところもありますが、最高に楽しいですね。
アドエビスは日本のWebマーケティングにおけるインフラになり得るものです。そしていずれは、海外でも不可欠なプロダクトへと育てあげていきたい。そんな大きな目標に向かって挑戦したいという気概をお持ちの方であれば、きっと最高の体験を提供できると思っています。
(※)株式会社シード・プランニングによる「広告効果測定ツール市場調査」調べ