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注目のコメント
フクヤマ氏のインタビュー、最終回です。1年前の予測が外れたことを指摘したときは、少々バツが悪そうな表情を浮かべていましたが、アメリカ社会・政治の「二極化」に、繰り返し警鐘を鳴らしていたのが印象的でした。
明日からはニーアル・ファーガソン氏のインタビューを4回に分けて掲載いたします。まったく違った切り口から話をされているので、引き続きお読みいただければ幸いです。フランシス・フクヤマ氏の軌跡をちょっと振り返ってみましょう。
(1)冷戦終了期に書かれた『歴史の終わり』が世界的なベストセラーとなり、ポスト冷戦時代の思想家として注目された。確かに、ベルリンの壁が崩れ、非民主的なソ連の体制が崩壊する時代にあっては、「自由と民主主義」の正当性が永遠であるという主張は大きな説得力を持った。
(2)だが、そのような「楽観」は長くは続かなかった。1991年の湾岸戦争から、2001年の911テロ、そしてアフガンやイラク戦争の時代へと進む中で、アメリカは「正当性の根拠」を問われ続けた。また、21世紀になっても途上国や中国の独裁体制が国際社会において大きな位置を占める中で、テロや内線の問題も深刻化し、必ずしも「歴史は終わっていない」という現実も見えてきた。
(3)それでもフクヤマ氏は「自由と民主主義の圧倒的な正当性」を主張し続けた。その主張は、時には「自由と民主主義」という正義を実現するためには「力の行使も辞さない」という、いわゆるネオコンの主張と重なった時期もある。
(4)2011年に刊行された『政治の起源〜人類以前からフランス革命まで』に続いて、2014年の10月に出した『政治的秩序と政治的腐敗〜産業革命から民主主義のグローバル化まで』では、「統治」「法の支配」「民主主義」の三点セットが機能することが政治的秩序であり、その一部が欠けるということは政治的な腐敗を招くという観点から近現代史の見直し作業を行っていた。
ということで、現在位置の(4)からすると、ヒラリーさんの「違法メールサーバ」問題には厳しいということも、とりあえず納得はできる訳です。更に、この「三点セット主義」を掲げて、トランプ現象への批判者にも進もうかということですね。
そう考えると、細かな発想法に「世代的な限界」が多少感じられるものの、「自由と民主主義」の正当性を主張しているということでは、最初から全くブレていないとも言える訳です。「歴史が終わった」というのはご本人も否定している通りですが、この人なりの一貫性というのは、やはり存在としては貴重と思います。
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