【三田紀房×伊藤祐靖】日本人とルールづくり

2016/11/25
映画、マンガ、書籍などにおける一大テーマである戦争。戦争を描く難しさと意味はどこにあるのか。戦争を通じて現代人が学べることは何か。『 アルキメデスの大戦』の著者である漫画家の三田紀房氏と、『 国のために死ねるか』の著者であり、自衛隊特殊部隊創設者の伊藤祐靖氏が戦争について語る(全3回)。
前編:『ドラゴン桜』の漫画家が戦争を描く理由

ゼロからルールをつくれた理由

三田 特殊部隊をつくる上で一番苦労されたのはどういったことでしたか?
伊藤 まず情報を集めることですね。
何しろ、街の本屋でふつうに売られている本から知識を得ることから始めるくらい、初めは知識がありませんでした。当時の上官(自衛艦隊司令官)が、「お前、ヒントになるからまずは『007』を全部観ろ」と言ってきたくらいですから(笑)。
マニアックな本も出てはいますが、色々と調べていくうちにやはりマニア向けの本はマニア向けだなと分かるようになりました。
当時は国内に特殊部隊がなかったので、海外に見に行くしかないかと思っていたのですが、国内にもヒントになるものがたくさんありました。
居酒屋で飲んでいるオヤジの話からアイデアが浮かぶことがあるように、「正しい感性」さえ持っていれば、幼稚園児が作った砂場からでも発想することはできるのだと思います。
他に苦労したことは、ネイビー文化やアーミー文化を理解してもらえなかったことです。報告して指示を受ける習慣の中で育つ文化のことですね。