取扱商品数は2000万点

 アラブ首長国連邦(UAE)の不動産開発会社「エマール・プロパティーズ」(以下、エマール)のモハメド・アラバル会長を中心とした投資家グループと、サウジアラビアの政府系投資ファンド「パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)」が、それぞれ5億ドルを出資して電子商取引サイトを新たに開設。中東で急成長中のオンライン小売市場に参入することになった。
 アラバル会長は11月13日にドバイで記者会見を開き、電子商取引サイト「Noon」を2017年1月に開設予定であることと、取扱商品数は2000万点に上ることを発表した。
 PIFが資金の半分を負担し、取締役会にも積極参加する。残りの半分は、アラバル会長とペルシャ湾岸地区の投資家およそ60人が出資する。
 同サイトは5年から7年ほどで上場する可能性がある、とアラバル会長は述べた。
 ドバイを拠点とする物流大手「アラメックス」が「Noon」の運営を支援する。アラバル会長は2016年7月、アラメックス創業者が保有していた全体の9.9%にあたる同社株をすべて買い取っていた。

消費者市場への投資が拡大

 中東では、好景気と人口増加を背景に、企業やプライベートエクイティ・ファンドによる消費者市場への投資が拡大している。
 関係者が11月になって明かしたところによると、アマゾンはドバイのオンライン小売業「Souq.com FZ」の株取得を検討中だという。
 2016年9月には、ドバイにおけるウーバーのライバルであるライドシェアサービス「Careem FZ」が最大で5億ドルの新たな資金調達を目指していることを、同業界の動向に詳しい人物が明らかにしている。
 電子商取引への参入は、アラバル会長による最も新しい動きだ。
 同氏が会長を務めるエマールは、ドバイにある世界一の高層ビル「ブルジュ・ハリファ」の開発を行なった企業である。

ソーシャルアプリ立ち上げも

 10月、アラバル会長は「WhatsApp」と似たソーシャルアプリを中東向けに立ち上げる計画を発表。
 6月には、アラバル会長が率いるUAEの投資家グループが、中東の大手食品会社「アメリカーナ(Americana)」が保有するクウェート・フード(Kuwait Food)の過半数を超える株を取得することに合意した。
 クウェート・フードは、中東アフリカでケンタッキーフライドチキン(KFC)とピザハットを経営している。この投資家グループは、クウェート・フードの残りの株の義務的公開買い付けを行うと見られている。
 アラバル会長は、Noonが5年以内に利益をあげ、2018年までにエジプトとイラクでもサイトを開設すると見込んでいると述べた。
 またNoonは、アメリカーナが所有する倉庫を使用する可能性が高いとのことだ。アラメックスの設備能力と比べて3倍の収容量があるためだ、とアラバル会長は述べている。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Deena Kamel、Arif Sharif記者、翻訳:遠藤康子/ガリレオ、写真:ventdusud/iStock)
©2016 Bloomberg News
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